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2015年2月12日 (木)

音階と音程1 物理的な音律

 

音楽での音階と音程がどのように作られるか興味を持った。

そこで、物理を使って、音階と音程を作ることを考えてみました。

また、私の慣れ親しんでいる西洋音楽の音階と音程に限って考えることにします。

 

ここでは、物理の観点から音程を考えているので、

音楽理論的には間違っているかもしれません。

 

音の問題は、波長と振動数(周波数)で考えます。

 

まずはオクターブ、オクターブ上の音の振動数は下の音の2倍になっています。

振動数が2倍の音は同じ音として感じるのは、不思議な感じもします。

 

オーケストラでは、音合わせ(チューニング)はラの音で行います。

 

最近のチューニングに使うラの音の振動数は442 Hz(ヘルツ)です。

したがって、このオクターブ上のラの音の振動数は884ヘルツということになります。

 

このオクターブの間に音階が作られます。

音階は長調ではドレミファソラシド、短調ではラシドレミファソラです。

アルファベットでは夫々CDEFGAHAAHCDEFGA(ドイツ語表記)

あるいはCDEFGABC, ABCDEFGです。

日本語表記はハニホヘトイロハ、イロハニホヘトイです。

 

まずはハ長調の音階で音程を考えてみましょう。

 

ハ長調の基音のド、すなわちCの振動数を簡単のために1とします。

オクターブ上のドの振動数は2倍なので、2となります。

そのさらにオクターブ上のドの振動数は4です。さらにオクターブ上は8です。

 

基音ドの3倍はオクターブではありません。

振動数3の音は振動数2のドと振動数4のドの間にあります。

この3倍の音はソの音に対応します。

基音ドのすぐ上のソの音の振動数は3の半分、すなわち振動数が3/21.5になります。

 

基音の整数倍の音は、倍音です。

倍音は、3オクターブ上のドの振動数8までの間に

1,2,3,4,5,6,7,8の振動数があります。この内1,2,4,8はドの音です。

また、31オクターブ上のソなので、62オクターブ上のソになります。

残りは57です。52オクターブ上のミですが、7はちょっと厄介です。

7の振動数は、2オクターブ上のシの半音したあるいはラの半音上に対応します。

この倍音はドイツ語表記のBになるのかもしれません。

 

倍音は弦の振動の波長に関係しています。

下の図は弦の振動と振動数を示しています。

弦の振動には、このように倍音の振動数が含まれます。

Photo

 

この倍音でハ長調の音階のドミソの音程が決まります。

 

ここで、ドとミの関係は長三度、ドとソの関係は完全五度の関係で、和音の基本音になっています。

基音ドと同じオクターブのミとソの振動数は夫々52オクターブ下5/43のオクターブ下3/2です。

すなわち、長三度上は振動数が5/4倍、完全五度上は3/2倍ということになります。

 

他の音、レ、ファ、ラ、シはどうなるのでしょうか。

ここで、完全五度と長三度の関係で、これらを作ってみます。

レはソの完全五度上です。完全五度は3/2倍です。したがって、振動数3/23/2倍です。

ソの5度上のレは9/4で、これは1オクターブ上のレなので、基音と同じオクターブのレは9/8となります。

 

ファはドの五度下なので、振動数は2/3となります。すなわちこの五度上は3/2倍すると1になり、基音のドの音になります。基音と同じオクターブのファは2倍して4/3の振動数になります。ドとファは四度の関係があり、これから、四度上は4/3倍ということがわかります。

 

ラは、ファの長三度上なので、振動数4/35/4倍、振動数は5/3になります。

また、これから、ラとドは短三度の関係なので、短三度は6/5倍ということになります。

 

シは、ソの長三度上なので、振動数3/25/4倍となり、振動数は15/8になります。

またミの五度上とすると、5/43/2倍で、同じ振動数になります。

 

まとめると以下のようになります。これは純正律の音程となっています。

 

                                                                       
 

音階

 
 

 
 

 
 

 
 

ファ

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

独語表記

 
 

C

 
 

D

 
 

E

 
 

F

 
 

G

 
 

A

 
 

H

 
 

C

 
 

英語表記

 
 

C

 
 

D

 
 

E

 
 

F

 
 

G

 
 

A

 
 

B

 
 

C

 
 

振動数

 
 

1

 
 

9/8

 
 

5/4

 
 

4/3

 
 

3/2

 
 

5/3

 
 

15/8

 
 

2

 

 

実は、この音階の音律では、全音の間隔が一定ではないことがわかります。

全音の関係はドとレ、レとミ、ファとソ、ソとラ、ラとシの振動数の比が等しくなる必要がありますが、このなかで、レとミ、ソとラの関係だけが、全音が10/9倍になっており、他は9/8倍になっています。すなわち、レとミ、ソとラの間隔が少し狭くなっています。

半音の関係、ミとファ、シとドの間の振動数の比は16/15倍で等しくなっています。

しかし、この関係では半音の半音上は256/225=1.1378となって、9/8=1.125よりも広くなっています。

これから、半音上の♯と半音下の♭について、♭の半音上が元の音に戻るとすると例えばドの半音上、ド♯と、レの半音下、レ♭ではレ♭の方が音程が低いということになりそうです。

 

レとミ、ソとラが少し狭いことで、レとラの関係が3/2倍より少し狭くなっています。

レの振動数が9/8より少し低い振動数の10/9であれば、ラと完全五度の関係になるわけですが、今度はソとの間で完全五度の関係が崩れることになります。

 

このことが原因で、この音律では、転調によって、同じ名前の音の振動数(音程)が変わってくるという不便さがあります。この不便さを解消したのは平均率ですが、これは完全に数学的な音律なので、後回しにすることにします。

 

まずは、どのように音程が変化するのかを示してみたいと思います。

 

まず、ニ長調を考えましょう。

 

ニ長調の音列は下の表のようになります。

                                                                       
 

音階

 
 

 
 

 
 

ファ♯

 
 

 
 

 
 

 
 

ド♯

 
 

 
 

独語表記

 
 

D

 
 

E

 
 

Fis

 
 

G

 
 

A

 
 

H

 
 

Cis

 
 

D

 
 

英語表記

 
 

D

 
 

E

 
 

F

 
 

G

 
 

A

 
 

B

 
 

C

 
 

D

 
 

振動数

 
 

9/8

 
 

81/64

 
 

45/32

 
 

3/2

 
 

27/16

 
 

15/8

 
 

135/64

 
 

9/4

 

 

これから、ハ長調のミとラとニ長調のミとラの音程が僅かに違う、すなわちニ長調ではミとラの音程は少し高くなっています。実はミとラの音程はピタゴラス音律で作る音程と等しくなります。

 

ここで、ド♯が出てきました。そこで、レ♭と比較するために、ヘ短調で比較してみます。

下の表はヘ短調の場合です。ラ♭はファの音の6/5倍です。

                                                                       
 

音階

 
 

ファ

 
 

 
 

ラ♭

 
 

シ♭

 
 

 
 

レ♭

 
 

ミ♭

 
 

ファ

 
 

独語表記

 
 

F

 
 

G

 
 

As

 
 

B

 
 

C

 
 

Des

 
 

Es

 
 

F

 
 

英語表記

 
 

F

 
 

G

 
 

A

 
 

B

 
 

C

 
 

D

 
 

E

 
 

F

 
 

振動数

 
 

4/3

 
 

3/2

 
 

24/15

 
 

9/5

 
 

2

 
 

32/15

 
 

12/5

 
 

8/3

 

 

ド♯は135/64=2.109に対して、レ♭は32/15=2.133で、レ♭の方が音程が高いので、♭のほうが音程が低くなるというわけではなさそうです。

 

ここでシ♭が出てきています。前に7/4=1.75の振動数がシ♭かラ♯になるかもしれないと述べました。ヘ短調でのシ♭は9/5=1.8で音程はかなり高いです。そこでヘ長調でのシ♭を調べてみます。ここで、シ♭はラとレの振動数の比から出したもので、ファの四度上とすると、16/9=1.778となり、7/4に近い振動数になります。このシ♭の音程はヘ長調のシ♭と同じ音程になります。

 

次回はピタゴラス音律や平均律のような数学的音律との比較をしてみます。

 

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コメント

ピアノを趣味で弾いているものです。
以前から音階ー長調、ー単調の命名に判然としないものを感じてました。
時間がないので後でしっかりブログを読んで理解したいと思います

ミドリさま
コメントありがとうございます。
ピアノの場合、平均率ですので、音程としては、長調も短調も差がなく、音列的には、そのように思われるかもしれません。
しかし、長調の曲と短調の曲では、和音、コード進行が異なりますので、和音的な進行(例えばアルペジオ)が入ることで曲の印象が非常に変わってきます。
ここで述べている純正律では、短調と長調では音程の幅も違いますので、曲の印象はより鮮明に違いが出てくると思います。

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