« セシウム137の放射能と半減期と食物汚染 | トップページ | 衛星の公転周期と軌道半径(太陽の反対側に惑星があるかも?) »

2011年9月 2日 (金)

地球上どこへでも42分で行く方法(「夏目漱石と物理学」から)

図のように地球を貫いて、真空の管(空気抵抗を除くために真空にする)を通して、そこに物体を落とすと、物体は周期的に入り口と反対側の出口の間を振動します。


Photo

この振動の周期を計算すると1時間24分(1.4時間)になります。

ですから、入り口で物体を落として、反対側の出口の到着する時間は周期の半分の42分になります。

 

この時間は下の図のように真空の管を斜めに通して、例えば磁気浮上で摩擦をなくした列車を落とすと、反対側につく時間はやはり42分後になります。

 

Photo_4

 

なぜそのようになるのでしょうか?まずは地球の中心を通る場合で考えましょう。

 

これを計算するには、地球の中で物体が受ける力が地球の中心からの距離に対してどのようになるかを考える必要があります。

 

地球の中心からの距離(簡単に中心距離とします)に対して、そこにある物体が受ける力は、下図の中心距離を半径とした球の内部(青の球の部分)の質量による万有引力だけが効くことが分かっています。物体のいる部分より外側の(茶色の部分)からの力は打ち消しあって、効きません。証明にはガウスの定理が必要なので、ここでは行いません。

 

Photo_3

 

地球の中の密度が一様と仮定すると、中心距離より内部の質量は

 

(4/3)×π×中心距離の3乗×密度

 

となります。ここで、密度よりも地球の体積と質量を使ったほうが式が簡単になります。

 

地球の質量に関しては既に「地球の重さ(質量)」(2009824日の記事)で計算しました。

 

地球の体積は

 

地球の体積=(4/3)×π×地球の半径の3

 

です。密度は

 

密度=地球の質量÷地球の体積

 

ですので、中心距離より内部の質量は(4/3)×πが消えて

 

中心より内部の質量=地球の質量×中心距離の3乗÷地球の半径の3

 

となります。

 

したがって、物体にかかる引力は

 

物体にかかる引力=万有引力定数×物体の質量×地球の質量×中心距離の3乗÷中心距離の2乗÷地球の半径の3

 

です。

これをまとめると

 

物体にかかる引力=(万有引力定数×物体の質量×地球の質量÷地球の半径の2乗)×中心距離÷地球の半径

 

になります。ここで、上の式の括弧のなかは「地球の重さ(質量)」(2009824日の記事)を参照すると

 

物体の質量×重力の加速度

 

になります。したがって、物体にかかる引力は

 

物体にかかる引力=物体の質量×(重力の加速度÷地球の半径)×中心距離

 

と簡単になります。

 

物体にかかる引力は 物体の質量×加速度 です。

 

ここで、座標の原点を地球の中心に取ると力の向きは原点に向くので、右辺は負になります。

 

したがって、

 

物体の質量×加速度=-物体の質量×(重力の加速度÷地球の半径)×中心距離

 

になります。赤字の物体の質量は両辺で共通なので、消去できます。

したがって、

 

加速度=-(重力の加速度÷地球の半径)×中心距離

 

になります。加速度は中心からの距離、中心距離が大きいと負の大きい値になるので、中心に引き戻す力が大きくなります。すなわち地球の中心に近づくほど力を弱くなり、その力は中心からの距離に比例します。これは、ばねの振動で使われるフックの法則と同じです。

 

上の式は地球の中心を原点とする振動の式になっていて、この式のカッコ内の平方根が振動数の(2倍のπ)倍になっています。

 

ということは、不思議なことに内部のどこから出発しても振動数は等しく(重力の加速度×地球の半径)の平方根÷2倍のπになっています

 

振動数の逆数が振動の周期なので(地球の半径÷重力の加速度)の平方根に2倍のπを掛けたものが振動の周期になります。これは、(4×πの2乗×地球の半径÷重力の加速度)の平方根です。

 

地球の半径は6336km=6336000 m、重力の加速度=9.8 /s2、πの2乗=10 なので、

重力の加速度9.810と近似するとカッコ内は25000000になりますので、この平方根は5000、すなわち周期は5000秒になります。

 

5000秒は1時間3600秒で割ると1.4時間なので、周期は1.4時間です。片道だと42分です。

すなわち、管の入り口から落とすと反対側に到着するのは42分後ということになります。

この計算はかなり近似で計算しましたが、正確に計算してもほとんど変わりません。

 

 

では、地球を斜めに貫く真空の管の中を走る列車についてはどうでしょうか?

 

 

物体にかかる地球の中心に向かう力は、管のどこにあってもそこから地球の中心までの距離を中心距離とすると中心を原点とすると

 

中心に向かう力=-物体の質量×(重力の加速度÷地球の半径)×中心距離

 

になります。一方、管に平行な方向に管の中心に向かう力は図のように中心から管に垂線を降ろして出来る直角三角形の管に平行な辺に比例します。

4_2

また、管の中心から物体までの距離は、やはりこの直角三角形の管に平行な辺になります。

 

したがって、管の中心に向かう力は上の式で中心距離を管の中心からの距離と書き換えればいいことになります。

 

すなわち

 

管の中心に向かう力=-物体の質量×(重力の加速度÷地球の半径)×管の中心からの距離

 

です。管の中心に向かう力は 物体の質量×加速度 ですから

 

前と同様に物体の質量は消去できて

 

加速度=-(重力の加速度÷地球の半径)×管の中心からの距離

 

なので、振動数に関係する係数 (重力の加速度÷地球の半径)は、地球の中心を通る場合と等しくなります。従って、振動の周期は等しく1.4時間となります。

 

東京と大阪の間に真空の直線の管を通して、磁気浮上させた列車を走らせれば、片道42分、往復1時間24分で往来できます。

結局、地球の中に真空の管を通せば、地球上のどこへでも42分で行けるということになります

« セシウム137の放射能と半減期と食物汚染 | トップページ | 衛星の公転周期と軌道半径(太陽の反対側に惑星があるかも?) »

科学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/534741/52628479

この記事へのトラックバック一覧です: 地球上どこへでも42分で行く方法(「夏目漱石と物理学」から):

« セシウム137の放射能と半減期と食物汚染 | トップページ | 衛星の公転周期と軌道半径(太陽の反対側に惑星があるかも?) »

最近の記事と写真

フォト
無料ブログはココログ