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2011年7月13日 (水)

夏目漱石と物理学から:光の圧力と特殊相対性理論

次回7月19日の工学院大学オープンカレッジの内容から
 

 

http://www.kogakuinuniv-ext.jp/

 

「三四郎」では上野精養軒での会合の話題として、マクスウェルの光の圧力の理論の話が出ます。

光が圧力を及ぼすということは、前にも述べたように、光が運動量(質量×速度)をもつということです。

マクスウェルの時代、光が質量を持つとは考えられなかったので、光の圧力の結果は運動量保存則に反することになります。

(運動量保存則については別の機会に話しましょう)

 

例えば、物体Aが光を放出すると反作用で放出する方向と逆の方向に力を受けます。

その力によって、物体は光の放出と逆方向に運動します。

このとき、物体に運動量が発生します。

しかし、光には質量が無いので、運動量はないと考えられます。

放出された光が別の物体Bに衝突すると光の圧力で物体Bは運動を始めます。

このときの物体Bの運動量は物体Aの運動量と値は等しく方向が逆になっています。

従って、この時点では、物体Aと物体Bの運動量の和はゼロとなります。

このとき、物体Aの運動量に対して、物体Bの運動量は逆方向なので負としています。

従って、最終的には最初の運動量がゼロの状態になるので、運動量は保存されたことになりますが、

運動量が保存されない空き時間が存在することになります。

 

これは、物理学にとっては大問題です。

 

この問題を解消したのがアインシュタインの特殊相対性理論です。

 

アインシュタインの考えは次のようなものです。

 

もし、物体Aから放出された光と同じ速さで平行に走っている人間が観測すると、Aから放出された光は同時にBに到達する。

このことは、光の速さで走っている人間が物体ABを見るとABの距離はなくなっているように見えるということです。

 

一方、静止している人間から見ると、光は見かけの質量を持っているように見える。

 

以上のことを、一般的な状況にすると、まず時間に関しては動いている物体の時間は静止している物体の時間よりも遅いということです。

すなわち、物体AからBに動く時間は、静止している人間の時間に対して、AからBに動いている人間の時間のほうが短くなるということです。

 

また、距離(長さ)に関しては、動いている物体の長さは静止している物体の長さよりも短いということになります。

物体AからBに動いている人間から見ると、ABは逆方向に動いているように見えるので、ABの距離は縮まって見えるということです。

 

さらに質量に関しては、動いている物体の見かけの質量は増えるということになります。

 

光の見かけの質量は、光の運動量から計算することが出来ます。

 

光の圧力の式から(2010627日の「光の圧力再考」参照)

 

光の運動量=光のエネルギー÷光速

 

となります。

 

ここで、光の運動量を

 

光の運動量=光の見かけの質量×光速

 

とすると

 

光の見かけの質量=光のエネルギー÷光速2

 

となります。

 

これは書き換えると

 

光のエネルギー=光の見かけの質量×光速

 

となります。

光の見かけの質量をm 光速を c 光のエネルギーを E とすると

 

この式は有名な

 

E = mc2

 

になります。

 

これは光以外でも成り立ち、アインシュタインは以上の結果をまとめた理論を1905年に発表し、それが特殊相対性理論となったわけです。

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