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2011年7月30日 (土)

セシウム137の放射能と半減期と食物汚染

福島原発の事故以来、放射能のことがメディアをにぎわしていて、多くの不安を与えています。

専門家が色々解説しているのでここでは黙っていましたが、放射線量について私なりの考えを書いてみた。

セシウム137の半減期は30年。
これは、2個のセシウム137原子があると30年の間に1個が放射線(ベータ線)を出して崩壊し、準安定なバリウム137なるという意味です。

準安定なバリウム137はガンマ線を出して安定なバリウム137になります。

準安定なバリウム137の半減期は2.6日と短いので2個のセシウム137原子の内の1個は30年間で1個のベータ線と1個のガンマ線を出して、安定なバリウム137になるわけです。

ベータ線は電子線なので、空気中での飛距離はそれほど大きくなく、数センチメートルで止まってしまいますが、
ガンマ線はX線と同様の電磁波なので、透過力が大きく、空気を透過してくるので、外部被爆にも効いて来ます。

食物の放射能汚染で重要なのは、体内での被爆、すなわち内部被爆で、取り込んだ放射線のエネルギーを全て吸収すると思っていいと思います。

2
個のセシウム137原子があると30年間に1個のベータ線と1個のガンマ線を放出します。
30
年は約10億秒なので、20億個のセシウム137原子があると1秒間に1個のベータ線と1個のガンマ線を出すことになります。

1
秒間に1個の放射線量(1回の崩壊数)を1ベクレル(単位:Bq)といいます。

したがって、20億個のセシウム137があると放射線量は2ベクレルになります。
すなわち、1ベクレルの放射線量が測定されると10億個のセシウム137がある勘定になります。

10
億個という数は直感的ではないので、1000000000109個とします。

 

このセシウムを体内に取り込むと、出てくる全ての放射線を吸収すると考えます。

 

1個のセシウム137原子が崩壊で出すエネルギーは1メガ電子ボルト以下なので、大きく見積もっても10兆分の2ジュール、

すなわち2×1013 Jと思われます。

 

10億個のセシウム137があると毎秒これだけのエネルギーを体内に吸収していることになります。1時間に積算するには、これに3600秒を掛ければいいことになります。

 

60kgの人間が1Jのエネルギーの放射能を体内に取り込むと、60分の1グレイのエネルギーを吸収したことになります。(1グレイは物質1kgあたり1Jのエネルギー吸収量)

ベータ線やガンマ線にたいしては、シーベルトとグレイは等しい値なので、

毎秒1Jのエネルギーは毎秒60分の1シーベルトになります。

毎時に直すと、3600秒を掛けて、毎時60シーベルトです。

これはものすごく大きい値ですが、セシウム1371ベクレルの放射線量に対しては、これを10兆分の2にした値になります。すなわち1000億分の1シーベルトです。

 

さて、そこで、1kgあたり1000ベクレルの放射能汚染牛肉を100g食べたとしましょう。

100g中に含まれる放射能は100ベクレルです。

上の計算から、エネルギー吸収量は毎時1000億分の100シーベルト=10億分の1シーベルト=0.01マイクロシーベルトです。

 

1日にすると0.24マイクロシーベルト。

 

これを1年間食べ続けると1年は約9000時間なので、1年間の被爆量は約2ミリシーベルトになります。

 

これを50年間(約44万時間))毎日食べると50年間で100ミリシーベルトの被爆量になるわけです。

 

ここでの仮定は、毎日100ベクレルのセシウムを取り込んで、同じ量だけ排出しているとして、1年間の被爆を計算しました。実際には、セシウムが体内に滞在する期間分、被爆量も多くなるので、この数倍になると思われます。

 

しかし、毎日汚染牛肉などの汚染された食物を食べるわけでなく、誤って摂取する程度なので、1週間ほどセシウムが体内に残っているとしても、被爆量は積算で1マイクロシーベルトです。

これは放射線医療器具(レントゲン撮影やXCTなど)で1回に被爆する量の100分の1同程度なので、健康への影響はあまり心配する必要はなさそうです。

 

ベクレルとシーベルトの換算法がありますが、換算の基礎となっている計算法が分からないために、私の独自の計算で行ってみました。

 

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コメント

通りがかりのものです。1ベクレルとは放射性物質がこれだけの数であることにびっくりしました。質問をお許しください。

・セシウム137は1個に対して1回だけ放射性物質が出るのですか?
 体内に取り込まれて筋肉などに定着した放射性物質ひとつが排出されるまでずっとピカピカ放射線を出しているものかと思っていました。体内にちらばって存在し、腕にあったのは一回だけ、足にあったのは一回だけ、というなら安心できそうなのですが。

・そうであると放射線が出る時間がひとつひとつ異なるということでしょうか?
 

・10億個のセシウムと同じ10億個でできている例一般的な物質などはありませんか?食品1kgに対してどの程度の量がイメージできればと思います。

どきどきしながら書いてしまいましたが、どうか教えてください。

さとし様

コメントありがとうございます。

セシウム137は1回放射線を出すと他の物質に変わってしまいます。実際にはベータ線を出してバリウムに変わってからガンマ線を出して、安定なバリウムに変わるので2回放射線を出しますが、安定な原子に変われば、それ以後は放射線を出しません。放射性原子は放射線を出せばその後は無害になります。

>そうであると放射線が出る時間がひとつひとつ異なるということでしょうか?

そのとおりです。ただ、10億個のセシウム137があると毎秒ベータ線かガンマ線が出てきます。一つの原子が放射線を出して無害になっても他の原子が放射線を出すためです。一つ一つの放射性原子から放射線が出る時間はまちまちですが、10億個もあると平均して1秒間に1個の放射線が出ていることになるのです。

10億個の分子の量はそれ程多くありません。
質量(重量)にすると4兆分の1グラムです。
1kgの物質の中にこれだけしか入っていません。

1000ベクレル検出されるの場合、1兆個のセシウム原子がありますので、1兆個のセシウム137の質量は40億分の1グラムです。

すなわち、非常に微量の放射性物質が混入するだけで、大きな影響が出るので、気をつける必要があるのです。

お答えになっているでしょうか?

一宮先生 お答えいただきありがとうございました。

こういった数字を見るととても恐ろしく感じてしまいます。

しかし、微量の被爆を恐れていたら、心身ともに健康を損ないそうです。

日々の生活習慣でそれを上回る人間の生きる力をつけることのほうが大切だと思いました。

お礼が遅くなり大変失礼いたしました。

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