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2010年8月27日 (金)

物理が嫌い!

お酒の席などで、大学の教師だったことを話すと、必ず「ご専門は?」と訊かれるgawk

詳しい専門の話をするのも野暮なので、「物理です」というと、

「物理!難しいですね」と返されたりsad

「高校のとき、物理を取ったけど、ちっとも理解できなかった」とか、

挙句の果てに「物理は嫌い」と引かれてしまうwobbly

物理は七面倒くさい理論を振り回したり、役に立たないことを、くどくどと計算したりする学問だと思われているようだ。

 

なぜ、物理は嫌われるのか?

少しは分かっているつもりではある…

 

子供の頃から物理が好きで、物理にどっぷりつかっていた。

しかし、高校時代に物理の授業で、分からないことが続出して、嫌いになったことがある。

大学受験でも、第一志望は物理ではなくて建築だったりした。

結局、建築には行けずに物理に進んだが、そこで、本当の物理の面白さに出会い、今に至ってしまった。

 

高校で、一番分からなかったのが、力学の作用・反作用の法則。

学校の先生の説明では、「舟から岸に飛び移る時に舟が押し戻されて岸から離れるのが反作用」と教えられても、そんなものかと思うだけで、理屈が良くわからない。

次に、「人が壁を押すと壁も同じ大きさの力で押し返している。これが反作用」だといわれ、

さらに、「二人の人間がお互いに押し合って動かない時に、二人の力は釣合っていて、一方の力の作用に対して、一方が反作用」だと説明されるが、意思も何も持たない壁が押し返すはずはないので、意思を持っている人間とは違うと思ってしまい、壁が押し返すと言う理屈はさっぱり分からなかった。

 

このことは、もちろん今では理解できているが、分かりやすく説明するにはどうしたらいいのか、いまだに模索中である。

 

物理では、釣合いは最も重要な法則で、力学では、それが作用・反作用の法則になっている。

 

物理を分かりやすく話すと言うのは、結構難しい。

 

なので、物理が分からないと言う気持ちは分からないでもないが、それでも、その後、半世紀以上も物理にどっぷり浸かっていると、物理の何処が分からないのか、分からなくなってくる。

 

とにかく、物理が分かりにくく、物理嫌いを増やしているのは、物理を専門としている我々の怠慢だと思っている。

 

最初の大学を定年で退職する時は、退職後は物理などとはおさらばして、好きな音楽などで、音楽三昧、オケ三昧で暮らしていきたいと思っていた。

しかし、退職後も専門関係の仕事が舞い込んだり、再就職した女子大で物理を教える仕事に就いたりで、物理を面白いと思わせるにはどうしたらいいか、考えるようになった。

 

理科教室などや、科学館などで、実験を通して物理の面白さを伝える試みは多くなされていて、あっと驚くようなことで、子供たちをひきつけている。

 

しかし、物理の本当の面白さを知り、物理現象を理解するには、面白い演示実験だけでは、得られず、なぜそうなるのかと言う理屈を分かりやすく示し、さらに、他への応用が可能な形で理屈を示す必要があるように思われる。

 

すなわち、物理には理屈(理論)があり、その理屈は新しい世界を拓くためのものでもある。

しかし、新しい世界を拓くためには、理屈だけではだめで、その理屈の基づいた計算をして、具体的な値を出すことに意味があり、そこから見えてくる世界がある。

そして、その世界は身のまわりの何処にでも転がっている。

 

このブログは、物理を何処まで分かりやすく、しかも、数学を使わずに何処まで本質に迫ることが出来るのか、自分なりに、備忘録代わりにぼつぼつと書いている。

 

分かりやすく書こうと思っているが、なかなか難しく、読み返してみるとくどくどと面倒くさいことを書いていて、いやになる。

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コメント

わかりやすく説明するくらい、難しいことはないですね。

Covaさん、

分かりやすいと言うことと、易しく説明すると言うことが違うので困るのです。高度な説明でも分かりやすいこともあるので、日々分かりやすいとは何かを探しています。

勤務医です。日常でぶつかる物理的な現象を分かりやすく説明していただけて大変重宝しております。特に息子(小学生)に何かを説明する際に先生のブログは当方にとって隠れた参考書となっております。当方も作用反作用が(実は未だに)しっくりこない人物で、物理の問題を解くときに(自分の感覚にさからって?)必ず図のなかに書き込んだ記憶があります。是非、機会がありましたらプロの物理の先生の理解というもの御披露頂きたく思います。宜しくお願い申し上げます。

QQQさん

コメントありがとうございます。

作用、反作用は、物体が静止している、あるいは、等速で運動している時には、力が働いていないということと関係があるのですが、それと複数の力が釣合っているために、力が働いていないように見える、という説明でいいはずなのです。しかし、これでは分かりにくく、上手い方法がないか探しているところです。

地球の上で、人や物体がいくら飛び跳ねても、地球の軌道は、変化しないことも、実は同じことなので、そのうちに、この辺りの話題で、書いてみようとは思っています。

かえって分かりにくくなるかもしれませんが(笑)

物体に力が作用するとき、力は物体の表面から圧力として作用します。この圧力に対して物体は慣性で抵抗します。外力は2次元的に作用し、慣性は物体全体で、つまり3次元的に働き、この力が慣性力です。外から作用する力、つまり外力は常に慣性力と釣り合います。
力に関する現象はすべて外力と慣性力が釣り合うことで説明できるでしょう。(外力Fは常に慣性力mαと釣り合います)
作用・反作用も同じです。壁を押しても動かないように見えるのは押す力が足りないからです。
以上の説明で如何でしょうか。

原 宣一さま
コメントありがとうございます。理系の人にはこれで納得させられるのですが、文系の人や、特に子供に説明する場合、難しいのです。ばねを使って、変形による力との釣り合いで説明できないかとも思うのですが…

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