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2010年8月 3日 (火)

はやぶさのイオンエンジン

はやぶさがイトカワを往復して地球に帰還するのに、イオンエンジンを使ったことを聞いて、なるほどさすが、日本の技術だと思った。

 

日本の半導体デバイスの生産技術は世界でトップレベル!

この技術には、イオンビームを使った微細加工技術が使われており、安定したイオン発生技術もトップレベルにあります。

 

また、一方で、イオンエンジンの開発で、さらに日本のイオンビーム技術にも磨きがかかったのではないかと思う。

 

マイクロ波放電によるイオンプラズマを安定に持続させるには、多くのノウハウが無いと出来ないものなのです。

 

また、宇宙を航行するのに、イオンエンジンを使うと言う発想も感心しました。

 

イオンエンジンは、マイクロ波放電で出来たイオンを電場で加速して、その反動で推力を得ます。

燃料(イオン)となるキセノンと太陽電池による電源で済むので、宇宙航行にはうってつけです。

 

いったん宇宙に出てしまえば、加速や減速にそれほどエネルギーを使わなくても良いはずで、イオンエンジンで十分なはずです。

 

ところで、イトカワから飛び立つ時にも、イオンエンジンだけで十分なのでしょうか?

 

イトカワは小惑星なので、重力も地球の10万分の1しかなく、そこから飛び立つのに必要な力は非常に弱くても済みます。

すなわち、地球から物体を宇宙に脱出させるのに必要な力の10万分の1で良いことになるのです。

 

そこで、イオンエンジンがどの程度の推力があれば、イトカワから飛び出すことが出来るかを計算してみましょう。

 

イトカワの重力の加速度は、約0.0001N/kg0.1N/kg (mN:ミリニュートン)

N:ニュートンは力の単位です(単位の話参照)

(参考データ:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%AF_%28%E5%B0%8F%E6%83%91%E6%98%9F%29 )

 

したがって、推力をはやぶさの質量、510kgで割った値が0.1N/kgよりも大きければ、飛び出すことが出来ます。

これは、推力がはやぶさの質量×イトカワの重力の加速度より大きければよいと言うことです。

 

ということは、

 

推力>510×0.1N51N

 

ただし、ここで使った510kgの質量は燃料が満タンになっている時なので、

既に燃料をある程度消費した後では51Nの力より少なくてもよいと思われます。

(質量データ: http://www.jaxa.jp/projects/sat/muses_c/index_j.html )

 

参考にしたデータによると、イオンエンジン1個について、推力発生時の消費電力は250Wから1kWまで可変で、推力と電力の比は22N/kWということです。

1kWの電力で、22Nの推力が出るので、4個のエンジンがあれば、十分に脱出が可能となります。

(参考データ:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%CE%9C10_%28%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%29

 

イオンエンジンとはやぶさの成功。

日本のお家芸的技術による成功は感慨深いものがあります。

 

イオンエンジン、夢があって良いですね。

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コメント

イオンエンジン、どの程度まで推力強められますか?

Covaさん

原理的には、加えるエネルギーを大きくすれば、それに比例して推力は強められると思います。
ただ、イオンエンジンは真空環境が必要なので、もし大気中でイオンエンジンを使う場合には隔壁を通して、イオンを大気中に出さなければならないために、隔壁が耐えられるまでのイオン電流しか得られないと思います。

非常に大きいイオンエンジンであれば、真空環境にある月からの脱出も可能かもしれません。
そのための電力を太陽から得るとすると、どれだけ必要なのか…
かなり大きな太陽電池が必要となり、その質量のために、イオンエンジンだけでは、脱出できない可能性もありますね。

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