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2010年8月26日 (木)

結晶の表面と表面構造:表面再構成

Si001

写真1


Si111

写真2

 

上の写真はどちらもシリコンの表面の走査トンネル顕微鏡(STM)の像です。

どちらも、原子の像が丸い玉で写っていますが、写真1の方は、2つの原子が結合して繭状になっているために見にくいかもしれません。

 

同じシリコンの表面なのに、原子の配列がずいぶん違います。

その理由は、結晶の表面を作る時の、結晶を切断する方向が異なるためです。

 

2

 

上の図は一つの例として、ある結晶中の原子の並びの一部を示したものです。

結晶中で原子はこの正方形の配列を繰り返しています。

実際の結晶で、このような配列の結晶はあまりなく、もっと複雑ですが、分かりにくくなるために、一番簡単な、原子が立方体の各頂点に位置して、その配列を繰り返す、最も単純な結晶を考えます。(単純立方格子と呼んでいます。)

結晶の配列の最小単位の上のような構造を、結晶の単位胞と呼んでいます。

 

この結晶を下の図の影をつけた面に沿って切断すると写真1の表面が出てきます。

 

100

 

この表面の原子の並びは下の図のようになります。

 

100_2

 

写真1と違うと思われると思います。

これは、結晶を切断したままの状態で、その状態では、結晶表面は非常に不安定です。

すなわち、結晶を切断した時の結合が、そのまま、相手もいない状態で残ってしまっているからです。

そこで、相手を隣の原子に求めて、下の図のように原子の配列は再配列を起こします。

 

Si1002x1

 

原子が隣同士手をつないで結合しています。

このように、表面で原子間の結合が内部と異なることを、表面再構成といいます。

これでも、写真1とちょっと違います。

実際には写真1はこれを45度傾けたものです。

そうして見ると良く似ていることがわかります。

 

写真2はどのような方向で結晶を切断したのでしょうか?

下の図の、影の部分に沿って、結晶を切断すると写真2の表面が現れます。

 

111

 

この表面の原子配列は下の図のようになります。

 

111_2

 

これも、結晶を切断しただけの表面で、実際には再配列を起こします。

 

この表面の再配列は、実際には非常に複雑で、詳しく書くのはやめますが、

下の図のようにいくつかの原子が三角形に集まった構造になります。

 

Si1117x7

 

いかがでしょうか?真ん中に穴の開いた不思議な構造ですが、写真2の構造はこの原子の配列を繰り返したものなのです。

 

このように、結晶の表面は結晶の切断の仕方によって、表面の構造が変わり、また表面再構成によって、切断直後の不安定な構造が安定な構造へと再配列を起こします。

 

このような変化が、結晶の表面だけ、内部とは全く異なる性質を示すこともあります。

しかし、結晶の表面の構造を詳しく調べることは非常に難しく、最近になって、やっと、いくつかの重要な結晶の表面の原子配列が分かるようになってきました。

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