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2010年7月18日 (日)

石鹸(洗剤)で油汚れを落とせる理由:表面張力と毛細管現象

石鹸や洗剤は、物についた汚れを落とすのに使われる。

なぜ、洗剤を使うと汚れが落ちるのか?

 

今までの表面張力と濡れの関係を使って考えて見ましょう。

 

洗剤の液体(石鹸液など)の表面張力は水よりもかなり小さいことは、

洗剤を油膜の上に落とすと拡がることからも分かります。

 

したがって、洗剤液は油などに対しても濡れやすいと思えます。

濡れやすいと、液は非常に狭い隙間にも入ってゆけます。

 

毛細管現象と呼ばれている現象です。

紙や布を水に浸すと、水が浸みてくるのも、毛細管現象に依るのです。

 

では、毛細管現象はどのようにして起るのでしょうか?

 

1

 

上の図は水と毛細管の中の力の関係を表した図です。

毛細管の壁では、壁の表面張力(上向きの青の矢印)が水を引っ張りあげる方向にあり、

一方界面張力(赤の下向き矢印)がそれに対抗しています。

また壁のところでは水の表面張力(黒矢印)が下を向いていて、水を押し下げる方向です。

この3つの力は釣合っていて、毛細管現象での水を押し上げる力には寄与しません。

 

水を押し上げるのは、そのほかの水の表面の表面張力です。

図の水の表面張力ABはどちらも水面から外の方向を向いていて、その合力は

ちょっと大げさに書いたのですが、上を向いた矢印Cの方向になります。

言い直すと、水の表面積は、湾曲しているよりも平らな方が、小さいはずです。

表面張力は、表面積を小さくしようとしますので、面が平らになるように、力が働きます。

図を見ると分かるように、平らになるためには水面が上がらなくてはなりません。

したがって、上の方向に力が働くのです。

表面積が小さくなれば全体の表面エネルギーも小さくなるので、エネルギー的に得になります。

一方で、水が壁に接触したところでは、力の釣り合いで、上の図のような力の関係が、いつでも起きるので、面が平らになろうとして、水面が上がっても、接触の状態を保つために、接触面も上に上がるので、毛細管現象で水はどんどん上にあがるのです。

 

毛細管の中の水の表面には全体にわたって、水の表面に対して垂直上向きの力が働いており、これらの合力が、全体として水を押し上げるわけです。

 

この力は、毛細管の径が小さいほど、単位面積当たりの力は大きくなるので、小さい隙間に入りやすくなります。

 

水が石鹸液であれば、ほとんどの物質に対して表面張力は小さいので、汚れの細部に液が入り込みます。

 

また、石鹸液が汚れに吸着しやすければ、汚れを包み込んでしまいます。

 

こうして、汚れが落ちやすくなります。

 

料理の後の、鍋や食器が油で汚れていない場合は、水の表面張力だけでも、水は汚れの隙間に入り込みます。

ですから、油汚れでなければ、水につけておくだけでも汚れは落ちるのです。

 

油汚れの場合は、水の表面張力が油よりも大きいので、水は汚れの隙間に入れません。

そこで、洗剤液で、表面張力を小さくして油汚れを落としているのです。

 

表面張力が大きいとなぜ汚れの中に入り込めないか考えて見ましょう。

下の図は、水の表面張力が毛細管の壁よりも大きく、また、界面での結合力が小さい場合です。

 

2

 

この場合、上の図で水の表面張力ABは水面から中のほうを向いているので、

その合力の矢印C(これも分かりやすくするために大げさに書いています)はしたの方向を向きます。

その結果、水には毛細管から押し出されるように力が働き、結果として、毛細管の中には入り込めません。

 

水は汚れの隙間に入れずに、汚れを落とすことが出来ません。

水で、油汚れを落とすことが出来ないのは、油の表面張力が水よりも小さい(半分から3分の1)ことと、水と油の結合力が弱いために、水が油に濡れないためなのです。

洗物には、汚れに合った洗剤が必要です。

実は、濡れないことは防水に使えるのです。

水よりもずっと表面張力の小さい物質で繊維の表面を覆えば、繊維の中に水は入り込まず、防水になります。

防水スプレーや、防水加工には、このような物質を使っているのです。

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コメント

長年の謎がやっと解けました。ありがとうございます。どっこにもこんなわかりやすい説明かいてないんです。 最近わかりやすく説明するのはやってるけどそれでもたいていは坪をはずしてます。

コメントありがとうございます。
お役に立ったようでよかったです。

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