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2010年7月16日 (金)

濡れることと表面エネルギー&表面張力

濡れるとはどうゆうことなのか?

 

もう少しきちんと考えて見ましょう。

 

2種類の物質を接合させるには各々を接触させればいいわけです。

 

それを、物理的にするには、2種類の物質を二つに分けてから、接触させるという、

一見面倒な方法を取ります。

この方法だと、エネルギーがどのように変化するかが良くわかるためです。

 

いま、AB2種類の物質を考えます。

下図のように同じ大きさの物質ABを図の点線で二つに分割します。

 

Photo_2

 

このとき、分割した面の表面積は全て等しいとします。

分割したことで、分割面の表面積が増加しますので、表面エネルギーも増加します。

このとき増加する表面エネルギーは、Aの分割面の表面エネルギーの2倍とBの分割面の表面エネルギーの2倍になります。

すなわち、分割で増加する表面エネルギーは

 

2×Aの分割面の表面エネルギー + 2×Bの分割面の表面エネルギー

 

ということになります。

 

この分割したABを接合します。

この接合によって、ABの接合面、すなわちABの界面、で原子間あるいは分子間の結合が生まれます。

 

この結合によって、エネルギーが下がります。

(結合でエネルギーが下がらなければ、結合で得をしないので、原子間・分子間の結合は成立しません)

 

この結合エネルギーによるエネルギーの低下は負の量で表されます。

 

接合面は2つ出来るので、この接合で全エネルギーの低下も2倍になります。

 

結局、ABの物質からABの接合を2個作るのに必要なエネルギーは

これを界面形成エネルギーとすると、界面が二つあるので、

 

2×界面形成エネルギー=2×Aの表面エネルギー + 2×Bの表面エネルギー - 2×結合エネルギー

 

になります。ここで、分割面の表面エネルギーを簡単に表面エネルギーとしました。

 

ここで、全てに2倍がかかっているので、2倍を取り去ることが出来て、

 

界面形成エネルギー=Aの表面エネルギー Bの表面エネルギー 結合エネルギー

 

となります。ここで言う、エネルギーは全て単位面積当たりの量とします。

すなわち、ABの表面エネルギーから界面での結合エネルギーを差し引いたものが界面形成エネルギーになります。

 

この界面形成エネルギー(簡単に界面エネルギーといいましょう)は界面に平行に働く界面張力です。

 

界面エネルギーが低いほど濡れやすくなります。

 

界面エネルギーが負であれば、ABが別々に居るよりも、エネルギー的に得になるので、

お互いに、接合しやすくなるわけです。

その結果、べったりと濡れることになるわけです。

(ただし、界面エネルギーが負の場合というのは、実際にあるのかどうか分かりません。

 

通常は、界面エネルギーがゼロの状態が最低状態と思われます。)

 

 

 

ではその途中、すなわち、界面エネルギーが少し正の場合はどうなのでしょうか?

 

ここで、表面エネルギーおよび界面エネルギーは表面張力および界面張力と同じものだということを使います。

(表面エネルギーが表面張力と同じもの、界面エネルギーも界面張力と同じものの異なる表現ですが、表面・界面張力は力で、方向を持った量(矢印であらわせる)なのに対して、表面・界面エネルギーは方向を持たない、大きさだけの量なので、厳密には「大きさが同じで異なる表現の量」なのです。これについては次の機会に詳しく話しましょう。)

 

下の図のように、固体の基板表面に水滴がついた場合で考えましょう。

 

Photo

 

水滴が基板と接している縁の部分には、上の図のような力が働いています。

基板の表面張力が図の青の矢印のように水と基板の接した縁から働き、

水の表面張力は黒矢印のように水の表面に平行に上の方に向かって働いています。

また、水滴と基板との間には赤い矢印の界面張力が働いています。

 

水の表面張力の矢印の先端から基板に垂直に降ろした点線が基板と交わる点と

矢印の原点との距離に等しい基板に平行な力と界面張力との和が基板の表面張力と

等しい時に、この力は基板に平行方向で釣合います。

 

(垂直方向は基板の抗力と釣合うので無視します)[]

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

[] ここで、表面垂直方向の抗力を書き入れるとむしろ分かりにくくなるかと思い

分かりやすくするために、カッコ内の記述で済ませ、上向きの表面張力と釣合う抗力を

上の図および次の図では書き入れなかったのですが、かえって分かりにくくなったようです。

田辺氏のコメントで力が釣合っていないとのご指摘を受け、黄色の矢印で抗力を

書き入れました。

抗力は基板と水との間の結合力に起因する引力によるものですが、ここの議論では、

垂直方向の力は関係しませんので、無視をしています。(あるいは考慮していません。)

エネルギーの議論で、界面形成エネルギー(界面エネルギー)がAB

表面エネルギーから結合エネルギーを差し引いた量なので、垂直方向の結合力が

界面形成に効きそうに思えますが、界面では、界面垂直方向の力は界面形成に

寄与せず、単に抗力として働き、平行方向の成分、すなわち界面張力のみが

界面形成に寄与します。これは、表面や界面が2次元系であることと関係しています。

界面張力はゼロの場合、基板と吸着物質との接合がよく、界面に余計な応力が

存在しません。

また、完全に濡れた状況では、黒の矢印は界面と平行になり、この場合、垂直方向の

抗力もゼロになります。すなわち、この抗力は、水滴の表面張力に対する抗力で、

界面の結合とは無関係な量です。ただし、表面張力が界面の結合力よりも大きくなると

後で述べるように、界面の結合は切れて、水滴は球状になります。

この場合、抗力もゼロになります。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

界面張力が小さければ、この釣り合いのために、水の表面張力の矢印は寝てきます。

界面張力がゼロで、基板の表面張力に対して、水の表面張力が小さいと、

黒の矢印は基板に平行となり、しかも、基板の表面張力に引っ張られて、水面はどんどん引っ張られて、基板全体に拡がります。

すなわち完全に濡れます。

 

また、界面張力がゼロでなくても、基板の表面張力が水の表面張力に比べて非常に大きい場合には、釣り合いが崩れて、水は基板上に拡がって、完全に濡らすことになります。

 

これから、水滴の表面張力が基板の表面張力に比べて非常に小さいと、濡れることが多いということに気がつきます。

石鹸液などの界面活性剤はこのことを利用しています。

 

また、金属の表面張力は非常に大きいことが多いので、通常、水は金属上で濡れることが多いのです。

因みに、水の表面張力は20℃で、0.073N/mですが、銅で、1.67N/m、銀で1.14N/m、金で、1.41N/mといずれも水に対して200倍近い非常に大きい値です。

 

アルミニウム表面は、多くの場合、酸化物で覆われているので、濡れる割合が少なくなります。

 

 

濡れない場合も同じように考えられます。

 

下の図は水滴が濡れない場合の例を示しています。

黒の矢印は水の表面張力の方向と大きさ、青の矢印は基板の表面張力の方向と大きさで、

ここでは、基板の表面張力が水の表面張力よりも小さいとしています。

赤の矢印は界面張力の方向と大きさを示しています。

黒の矢印の基板への投影と基板の表面張力の和が赤矢印の界面張力の大きさと釣合うように

黒矢印の方向(水の表面張力の方向)が調節されます。

この状態はほとんど濡れていない状態を表しています。

水滴の表面と基板の表面とのなす角を接触角と言い、この角が90°以上のときは濡れていない状態、90°以下の時は濡れている状態と定義しています。

Photo_2

 

基板と水滴の間の結合エネルギーがゼロの場合は、上の式から、界面エネルギーは水と基板の表面張力の和になります。この値が、界面エネルギーの最大値です。

したがって、上の図で、上に向かっている黒の矢印は基板の青の矢印と平行(接触角が180°)にならなければ釣合わないので、水滴は完全に球になります。(完全に濡れない場合です)

 

(ここでも上の[]にしたがって、黄色の矢印で抗力を書き入れました)

 

 

結合エネルギーがゼロでない場合は、赤の矢印の界面張力の大きさ少し小さくなり、

黒の矢印が上の方に立ってきます。すなわち、接触角が180°より小さくなります。

その結果、図のように界面には接触面積が出来ます。

 

水の表面張力が基板の表面張力に対して大きい場合は、界面張力が結合によって小さくなって、ゼロになっても、水の表面張力の矢印は上を向くはずですので、水滴は完全には濡れずに、レンズ状に吸着します。

多くの場合、水の表面張力が基板よりも大きい場合には、水はほとんど濡れないということになります。

水の表面張力は20℃で0.073N/mなのに対して、オリーブ油は0.032N/m、石油は0.026N/mと半分から3分の1の大きさなので、油膜の上では、水は濡れないのに、水の上では、油は拡がりやすいのです。(数値は理科年表による)

 

それに対して、基板の表面張力が水の表面張力に比べて非常に大きい場合は、前にも言ったように濡れることになるのです。

 

以上のことは、水だけでなく、全ての物質に当てはまります。

 

この表面張力と濡れの関係は、現代の先端技術に応用されています。

このことは次の機会に話しましょう。

 

 


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科学」カテゴリの記事

コメント

偶然検索エンジンにて、検索にかかりました。
物理に関する興味があって、数学の専門的知識がない私には
非常に楽しく読ませていただいています。
数字を使わない説明の難しさは、大変なものではないかと思いますが
このページのいちファンとして今後も楽しみにしております。

沖縄県 男 49歳

コメントありがとうございました。

文章が回りくどく、読みにくいかもしれません。
もっと推敲しないといけないかもしれないと思っています。
分かりにくいところなど、是非指摘していただけたらと思います。

おかげさまでずいぶんわかってきました。どこにもこんな丁寧にかいてないと思います。ひとつまだもやもやが。

最初に式では表面エネルギーの和が界面エネルギーとなっているけど(とりあえず結合エネルギーの差引はさておき)、最初の図は最初の式風にいうと、A表面エネルギー=B表面エネルギー+界面エネルギーになっている点。 二つ目の図は最初の式のとおりの図になっておりますが。

なおひとつ目の図についても理くつはとても明快でした。力関係でどんどん濡れてくる点。

水田Xさん

コメントありがとうございます。
水滴の図のことだと思いますが、エネルギーの説明と張力の説明で、ちょっと分かりにくかったと思います。

表面・界面エネルギーでは界面エネルギーはAとBの表面エネルギーの和になるのですが、水滴の図では、界面エネルギーの値は最初の式をから導いてから、それを使って、表面張力および界面張力の力の釣り合いとしてベクトル(方向性を持った量:矢印)になっています。

水滴の最初の図では、濡れる場合のために、結合エネルギーが大きく、それによって界面エネルギーがAとBの表面エネルギーの和よりも非常に小さくなります。
すなわち、水滴の内側を向いている赤の矢印の大きさはAとBの表面張力の大きさの和から結合エネルギー分だけ差し引いています。

一方で、表面張力と界面張力は力なので、水滴の縁で、これらの力の釣合いになっていなければなりません。
これは矢印であらわされる方向性を持った量(ベクトル量)の和なので、エネルギーのような方向性を持たない量(スカラー量)とは異なってきます。

表面張力と表面エネルギーはその大きさは等しいのですが、一方はベクトル量で、一方はスカラー量なので、同じものという言い方は、誤解を招くものかもしれません。

この辺が混乱を招く原因ということが、今回分かりました。
上の記事をこれに沿って、修正する予定です。

ありがとうございました。

解説ありがとうございました。

すみません。まだもやもやしてる一番のポイントはやじるしの方向です。表面張力については基板の張力と水滴の張力の起点のところを微視的にみるとおそらく基盤の分子たちと水滴の分子たちがおたがい綱引きをして仲間どうしが離れないようにがんばってるんだろうなーとイメージできます。(あってますでしょうか。。)

わからないのは界面張力のやじるしの方向がなぜ内向きかです。

界面と名がつくのだから基盤と水滴の境界上のやじるしなのは当然ですが、なぜ内向きなのか、なにかわかりやすい例えございましたらお願いします。

界面張力は内側を向いた水滴の表面張力と基板の表面張力の和が元になっています。
実際には、水滴の端で、水滴の表面張力は斜め上方向の力と基板に平行な力からなっています。
一方、基板の表面張力は水滴の端から外に向かう力とうちに向かう力からなっています。
このほかに界面での結合による力が基板表面に垂直下向きと基板に平行な向きに働いています。
このうち、垂直な方向の力は、ここでは省いています。
結合力の基板に平行な向きの力は、水滴の表面張力と基板の表面張力を打ち消す方向、すなわち外側を向いています。
このために、界面張力の大きさは水滴と基板の表面張力の和よりは小さく、結合力はその和よりは小さいために、内側に向かう界面張力が残るので、内側を向いているわけです。
もしも、結合力が水滴と基板の表面張力の和よりも大きければ、界面張力は外側を向きます。その時は、水滴はどんどん拡がってしまいます。

ありがとうございます!やっともやもやが解けてきました。

水滴の分子同士が引き合う力と基盤の分子同士が引き合う力、それプラス水滴の分子と基盤の分子が引き合う力が加わるわけですね。

それが起点となる点において同じ分子同士が引き合う力に負けまいとするようですね。やっとイメージできました。

はいそうです。お役に立てたようでよかったです。

界面エネルギーについて調べたくて訪れた者です。このページの2つの図において、3つの力の矢印が釣り合っていません。どこか間違えているのではないでしょうか?力の矢印が釣り合わないと、物体は動いてしまいますよ。
結局界面エネルギーがわかりませんでした。

田辺様
コメントありがとうございます。図の矢印は確かに釣合っていません。それについては、括弧書きで書いたのですが、分かりにくかったと思います。
また、図が、物理的に正確さを欠いたために、かえって分かりにくくなったと思いますので、黄色の矢印で抗力を示しました。
さらに、それについて、注で説明をしました。
界面エネルギーおよび界面張力は非常に分かりにくい概念で、説明が難しいのですが、界面に平行な方向のみが寄与するということで、理解しています。
界面エネルギーが大きくなると界面における応力が発生しますが、結合力はむしろ小さくなるので、非常に分かりにくくなっています。

γsinθと釣り合うのは下向きの抗力なのですね。
すばらしい記事を残してくれてありがとうございます!感激です!

下向きに発生する力の候補としてとして私は当初"重力"を考えていました。しかし、無重力でのドロップレットのcontact angleが変化しないという文献を見たり、垂直壁にへばりついた水滴のγsinθの説明がつかない事からも"抗力"が正しいと今は確信しています。

ちなみに、2つ質問が有るのですがご意見を聞かせてもらえると幸いです。

1)
 界面エネルギー(私的には"密着する仕事"がしっくりきます)を生み出している根源となるのは、基板と液滴を構成している最小単位の原子同士の電子軌道の重なり等に起因する結合だと思います。その時に、
(i)基板表面の粗さ
(ii)基板原子と液滴原子の格子の整合性
(iii)界面に存在する不純物
等の外乱要素の取り扱いに関してご意見を伺いたく思います。
つまり、これらの外乱要素は3つの力(エネルギー)に確実に影響を与えると思われるのですが、実際のcontact angleはこれらの要素も織り込み済みの結果として現れるのでしょうか。あるいはcontact angle 自体は純粋な3つの力(エネルギー)のみに規定されて、これらの外乱要素とは無縁なのでしょうか。

2)
 液滴の大きさ(体積)は何に影響を受けますでしょうか。同じ条件でも様々な大きさ(体積)の液滴が発生するかと思います。落下したときの液滴の大きさや、表面での拡散(Ostwald ripening)長が効いていて、液滴の大きさはcontact angleの大きさに影響をあたえないと考えて宜しいでしょうか。

とある博士課程学生さま

コメントおよびご質問ありがとうございます。
1)
(i)について:界面エネルギーは自由エネルギーですので、界面に粗さがあればエントロピー項が効いてきて、エネルギー的には下がるので、濡れる方向に効いてくる可能性はあります。ただし、この粗さが、マクロな粗さであり、原子的には平たんな場合、自由エネルギーに効いてくるのはステップの部分のみとなり、それほど大きな効果にはならないと思われます。原子レベルで荒れている場合は、その状態での自由エネルギーで議論をすべきですが、接触角にその影響は出てくると思われます。

(ii)について:液滴内には理想的には格子不整合による応力や歪はそれほど大きくないのであまり影響は受けないと思いますが、液滴の粘度が高い場合は、応力によって界面エネルギーが高くなる可能性があります。この場合は接触角に出てくるはずです。また、エピタキシャル成長のような場合、格子の整合性は、界面エネルギーに重大な影響を与えますので、不整合があれば、界面エネルギーが高くなり、接触角が大きくなります。最近は、格子不整合を使って量子ドットの作製が行われていますが、このことを使っています。

(iii)について:界面の不純物も、界面エネルギーに影響を与えますので、接触角に影響を与えます。ただし、その密度によるわけで、不純物の密度が非常に低ければ、ほとんど影響がないと思われます。

以上のように、外乱要素は接触角に影響がありますが、マクロに考えた接触角はこれらをすべて考慮に入れたものであると言って良いと思います。

2)
液滴の大きさは気相の蒸気圧と基板温度に依ります。これは、基板表面における原子の拡散長にも依存します。基板表面が完全に一様で均一な温度分布であり、気相の蒸気圧も一様で、まったく揺らぎがなければ、吸着する液滴の大きさはすべて同じ大きさになると考えられます。しかし、実際には基板を一様にしても気相の揺らぎは基板への吸着が始まる時点で変化し始めるので、コントロールが難しく、その結果として液滴の大きさのバラツキが現れます。なお、重力の影響がなければ、平衡状態では接触角は液滴の大きさには依らないと考えられます。

一宮様

丁寧なご回答を頂きありがとうございます。
濡れ性に関する理解が深まりました。


2)の項目に関連してもう一点お伺いさせてください。

水滴のcontact angle測定に関する一般的な実験手法は、スポイト等でmm^3〜cm^3オーダーの水を垂らして測定するものだと私はイメージしていました。
気相と液滴の相互作用を考えるならば、核形成のようなnm^3〜µm^3のオーダーの微粒子においてもcontact angleは普遍的に適用出来るということでしょうか。

例えば高分子等の粘性の高い物質の核形成においては、重力の影響は無視できるのでマクロな現象(ゲルなど)で測定したcontact angleをミクロな現象(初期核など)に適用したとします。
より濡れ性に優れた物質を探索することが薄膜のようなミクロなシステムでの界面エネルギーに影響を与えると考えるのは正しいでしょうか。

とある博士課程学生さま

コメントありがとうございます。
平衡状態であれば、かなり小さい系でも接触角の概念は使えると思います。ただ、原子レベルになってくる接触角という概念はちょっと難しいかもしれません。ほとんど書いていない私のブログ
原子と表面の不思議な関係
http://blog.goo.ne.jp/luna-physics
にシリコン表面上のシリコン結晶の微粒子の写真がありますが、
これは非平衡状態なのではありますが、接触角をどうとるかはちょっと微妙です。
しかし、この状況でもかなりマクロな物理の議論(表面エネルギーや界面エネルギーおよびステップエネルギー)で、解析ができますので、
ミクロなシステムでも同様の議論を進めることは可能だと思います。
濡れ性に関しては、なるべく界面エネルギーを小さくすることが良いと思われます。
原子・分子レベルでは、層状成長する場合は濡れ性が良く、1層形成される前に2層目が出来上がるような場合は、濡れ性では少し落ちてくると思います。この場合は、2層目、3層目等を含めた平均的な接触角で議論はできます。

一宮様

ご回答頂きありがとうございます。
原子・分子数十個のレベルになると濡れ性の議論も検討の余地が有るという事ですね。

親身に分かり易く回答して頂き感激でした。
これからも時折ブログを拝見させて頂きます。

大変わかりやすい記事をありがとうございました。一つ質問させていただきたいのですが、私がやっている有機溶媒系においてある種のSi系添加剤を入れると、表面張力は低下するが、基板との接触角は大きくなる系があります。いくつかの溶媒で試してみましたが傾向は同じでした。この場合は、液滴と基板との間の界面エネルギーが大きくなっていることになりますが、液滴表面の添加剤(界面活性剤)の配向が空気である場合と、基板(ガラスでもポリイミドでも)で変わってきていると考えないと説明できそうにないのですが、このような系というのは広く知られているものなのでしょうか。ご教示いただければ幸甚です。

たむらまろさま、
コメントありがとうございます。このような系は私も知りませんでした。
ただ、表面張力が低下するのに、接触角が大きくなるということは興味深いです。
これは、おっしゃるようにSi系の添加剤によって、基板との間の結合力が弱り、界面エネルギーがむしろ増大したと考えるのが自然かと思います。また界面の原子構造(分子配向)が環境によって変化することは十分に考えられますので、基板との間の添加剤の配向が空気とのいわゆる表面で、配向が異なることはあり得ると思います。
ただ、私自身は無機物の表面・界面が専門で、表面張力の低下による接触角の増大する系は、見たことがありません。しかし有機系ではありそうな気がします。
答えになっていなくてすみません。

早速のご回答をありがとうございました。表面張力が低下するが、基板との接触角が大きくなると言う系は意外と知られていないのですね。Siloxane系の添加剤の効果は企業が主体にやっているのかして経験的な紹介だけで、私の知りたい表面の凝集力や配向性に関する論文等もなかなか見つからないですね。液滴の接する相手が空気と基板では液滴表面の分子配向が異なってくる場合がある、ということを仮説として考えてみたいと思います。上記の現象はIJ塗布等のインクの設計に応用できるかも知れません。初めてのメールに素早いご回答を頂きましてありがとうございました。感謝申し上げます。

先日、質問させていただいたものです。空気は疎水的であるという記述を見かけますが、ほとんどN2からなっているのでそうかと思いますが、何かきちんとした文献などはあるのでしょうか。色々調べてみたのですが見つかりません。どのような実験に基づいて疎水的(それも相当に高いレベルらしいのですが)と言っているのかもしご存じならご教示いただけると大変ありがたいです。前の質問に関連して考えております。
よろしくお願いいたします。

たむらまろさま

コメントありがとうございます。返事が遅くてすみません。
ところで、空気が疎水的というのはかなりあいまいですね。
酸素と窒素で異なるので、おっしゃるように多分窒素に対するのだとは思いますが、私自身はこれについては専門ではないので聞いたことがありません。
文献も、ちょっと調べてみたのですが、見つかりませんでした。
表面張力を比較すると、水の空気に対する表面張力は温度にもよりますが、大体0.07N/m^3ですが、液体の酸素および窒素は同じ物質の蒸気環境下で0.01N/m^3ですので、かなり小さいです。
しかし、小さいから濡れるかというと、水と空気の間の結合力が十分に小さければ濡れないので、疎水的ということは、水と空気の結合エネルギーが非常に小さいためだと思います。
この辺のデータも私自身は持っていません(あるいはリタイアしていますのでアクセスできる環境にない)ので、分かりませんが、通常の環境では空気と水は構造的には結合エネルギーは小さいように思えます。しかしこれは完全に素人の感覚だけなので実際にそうかどうかは分かりません。
なお、物質間の結合エネルギーに関しては例えばCRCハンドブック(Physics & Chemistry)にあるかもしれません。
お役に立てず、すみません。

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