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2010年7月28日 (水)

電子レンジは効率的?

結晶と表面張力の話にちょっと疲れたので、電子レンジについて考えてみる。

 

電子レンジは、周波数が2.45GHz(ギガヘルツ:10億ヘルツ)の電磁波を使って、加熱している。この電磁波の波長は12.2cm

 

この周波数は、携帯電話の周波数にかなり近いので、少し前に、携帯電話から放出される電磁波が危険ということで、愚にもつかないグッズが売り出されていたことがある。

この電磁波の波長は10cm程度なので、小さな防御グッズでは、役に立たないことは明白なのに、結構だまされて買う人が多かったようです。(閑話休題)

 

電子レンジでは、電磁波が、物質の中の分子を振動させ、その振動が、周りの分子の振動を誘発します。

これは摩擦熱と同じです。

電子レンジの電磁波は、特に水分子に対して効率的に振動を与えます。

 

ほとんどの食材は、動物や植物から出来ており、それらは細胞からなっています。

細胞には水が含まれているので、電子レンジによる加熱は、それらの食材に含まれる水分子の振動で起きていると思われます。

 

電磁波は金属に対しては、金属中の電子を振動させますが、その電子の振動によって、同じ周波数の電磁波を放出させます。

これは、いわゆる反射です。

したがって、金属容器内の材料は、容器の金属で電磁波が遮断され、内部に波が侵入しないので、加熱されません。

また、金属自身も電磁波を反射するだけで、加熱されないのです。

 

ガラスや陶器、耐熱のプラスティック等の容器は、容器の中の分子が電子レンジの周波数では振動は誘起されないのでほとんど加熱されません。

そのため、電磁波は容器の中まで透過して、中の材料を加熱出来るのです。

 

このように、電子レンジの電磁波は、水を含む食材を狙い撃ちにして加熱することが出来るので、非常に効率的なのです。

 

すなわち、加えられたエネルギーは全て食材の加熱に使われると考えていいのです。

 

電子レンジを使って、700Wの電力で水200ml(コップ1杯)加熱したとします。

このとき700W全部のエネルギーが、コップの中の水の加熱に遣われると思って良い訳です。

20℃の水を100℃に加熱するのに必要なエネルギーは、200×80cal(カロリー)=16kcalです。

これをジュール(J)に直すと、1cal=4.19 Jなので、これをかけると67J67000Jのエネルギーになります。

これを700Wで割ると、加熱にかかる時間が計算できて、約96秒、すなわち136秒かかると言うことになります。

 

これから、200gの食材を700Wで加熱するには、1分半から2分で良いということになります。

 

冷蔵庫に入れてあった200gの食材を単に暖めるだけならば、10℃から80℃ぐらいまで暖めればいいので、700Wなら約85秒(125秒)、500Wなら、117秒(約2分)の加熱になります。

 

手元にある、冷凍のドリアは190g500W5分から5分半加熱しろと書いてあります。

冷凍庫は-20℃なので、100℃まで加熱に必要なエネルギーは190×(12080)×4.19159220J です。括弧の中の80カロリーは、氷1gの融解熱です。

500Wならば、加熱時間は500で割って、318秒=518秒、700Wならば227秒(3分47秒)になり、袋に書いてある加熱時間は、順当な値でした!

ついでに、冷凍品の解凍時間も計算してみましょう。

200gの食材を200Wの電力で-20℃から0℃まで解凍する場合を考えます。

食材は、200gのほとんどが氷だと思えばいいのです。

必要なエネルギーは 200×(2080)×4.1983800Jとなります。

ここでも、融解熱80カロリーを加えています。

電力200Wで割ると、加熱時間が出てきて、419秒になります。

これは約7分です。こんなに長いかな…

 

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コメント

では、耐熱性のあるプラスチックとないプラスチックの差と、耐熱性のあるガラスとないガラスの差は、何か共通点はありますか?

Covaさん

コメントありがとうございます。
これについては、良くわかりませんが、私は共通点はないと思っています。

耐熱性のあるプラスティックは100℃の温度で軟化しないことだと思っています。

一方、耐熱性のあるガラスは、100℃で、割れないことで、そのために、ガラスの中の歪が十分に取れていて、膨張によってクラックが入らないガラスと理解しています。

それって、構造上の遊びが熱の影響を吸収してるってことですか?

というか、熱が加わると歪のところに更に歪が集中して、クラックが入って割れるのだと思います。

ビニール袋を開けるのに、ちょっと切れ目があると開けやすいのと同じで、ちょっとした構造の違いで、そこを起点に変化が始まりまるのだと思います。

世の中の安定も同じかもしれません。

自宅の電子レンジに貼ってあるラベルを見ましょう。メーカーのサイトでもいいです。
電子レンジ出力(定格高周波出力)と消費電力が別々に載っていて、消費電力のほうが2倍前後のワット数になっていますよね。
ここで、電子レンジ出力(定格高周波出力)というのが、JIS C9250の方法で求められた電磁波の加熱能力を表します。
消費電力と電子レンジ出力の差分のエネルギーは、背面の冷却ファンで室内に放出されるので、水の加熱には使われません。

こう書きなおせば概ね正しいブログになりますよ。

誤> 電子レンジを使って、700Wの電力で水200ml(コップ1杯)加熱したとします。
正> 電子レンジを使って、700Wの電子レンジ出力で水200ml(コップ1杯)加熱したとします。このとき約1300Wの電力を消費します。

嘘キラーさま

コメントありがとうございます。たしかに消費電力は1350Wです。なお、高周波出力電力は1000Wになっています。
なお、消費電力には起動時の電力が記載されることが多く、運転時の電力はそれよりも低いと思われます。
そこで、実際には電子レンジに電流計を取り付ければいいのですが、大容量の電流計の接続はすぐには難しいために、電力計の値を使うことにしました。
すなわち時間を区切って電子レンジを使用しない時の電力消費量と電子レンジを使っているときの消費量の差分を取るわけです。
誤差は±5Wh程度です。
実際に20℃、400mlの水を700Wで4分加熱してみた結果は、加熱前後を含めて電子レンジを使用した場合の6分間(このうち4分間加熱)の使用電力は120Wh、使用しない時の6分間の使用電力は70Whとなり、差し引き使用量は50Whとなります。
一方、700Wで4分間の使用電力は700×4÷60=47 Whになり、ほぼ、計算どおりか、少し余計に電力を消費しています。
誤差を最大の10Whまで見積もっても、使用電力は60Whであり、消費電力は60÷47×700=900Whとなって、200Wh程度の余計な電力が消費されています。すなわち、最大の高周波出力1000W以下の出力で運転されています。
結局、装置内の無駄な部分が多少はありますが、ほぼ電子レンジの前面に書かれているワット数の2割り増し程度で運転されていると考えていいようです。
なお、水の加熱時間3分20秒ほどで、20℃の水は沸騰しましたので、加熱に使われた電力は700Wということになります。

失礼ながら、一点だけ。

電子レンジの加熱の仕組みの原理がやや間違っております。

電子レンジのマイクロ波がかかるまで、水は好き放題向いています。
そこに電磁波の影響で無期がそろおうとするわけですが、
「水分子同士」が邪魔しあい、そろうまでにやや(と言っても本当にごくわずかな)時間がかかります。
その間、「水分子」ではなく「水全体」が抵抗と違う向きの電子の向きを持つわけです。
でも、その一瞬が過ぎればその向きのエネルギーは消えてきれいにそろいます。
これを「延々と起きつづけるように」しているのが電子レンジの働きになります。
この特性は水がよい、というものではなく水のように「非極性分子」と呼ばれる、プラスの電荷とマイナスの電荷をもつ原子のバランスが悪いとおきます。
実はアメリカなどでは周波数が950Mhzであったりしますので。
http://www.cml-office.org/atom11archive/water/microwave.html

ちなみに、電子レンジの場合、扉部に向かう電磁波も多いため、過熱効率は64%とされています。

http://jirof.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-ffb0.html

milkさま

コメントありがとうございます。水分子は熱振動をしており、さらに水素結合が関与しているために、加熱プロセスはそう簡単ではないことは、水の比熱が他の物質に比べて非常に大きいことからも分かります。さらに電場による極性の向きも、確率的なものだと思います。
したがって、分子摩擦というのは確かに短絡的で、実際には電磁エネルギーのやり取りにおいて、エネルギー散逸が起きて、それが熱エネルギーとなったといった方が良いのでしょうね。

加熱効率については、余ったエネルギーの行方が気になります。扉の窓から電磁波は漏れていませんので、レンジ内に閉じ込められているはずで、加熱に使われない部分は、エネルギーとして使われないと考えるのが普通のような気がします。電子レンジ全体として、エネルギー散逸があり、その結果効率が64%言うのであれば理解できます。水の加熱では、電力消費量と加熱による温度上昇は80%程度の加熱効率というのが、かなり荒っぽい実験ではありますが、得られています。

有用な情報をありがとうございました。

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