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2010年6月27日 (日)

イカロスが太陽から離れる速度は?

前の記事で、イカロスは地球から飛び立ったので、太陽を周回するために、太陽からの引力と、

周回の遠心力は釣合うため、宇宙ヨットとしては帆にかかる太陽光からの圧力のみを考えればいいということになりました。

イカロスの質量は、帆の面積が2002、厚さ7.5μm、材料のポリイミドの密度が1430kg/m3

とすると、帆の質量だけで、200×7.5×106×14302.145kgとかなりな量です。

 

制御系のシリコンデバイスの質量はこれに比べれば無視できるとすれば、この質量を簡単に2kgとしてイカロスが太陽から離れる速度を計算してみましょう。

 

イカロスが太陽から受ける圧力は4.56×106Paですので、これに帆の面積2002をかけるとイカロスが受ける力になります。

 

計算すると力は9.12×104(ニュートン)の力になります。この力で加速されるとすると

 

力×時間÷質量=離れる速さ

 

なので、力÷質量=4.25×104m/s2から1日後すなわち86400秒後ではすでに36.7m/sのスピードで太陽から離れていることになります。1ヵ月後には1秒間に約1キロメートルの速さになっています。時速3600kmです。1年後には秒速13km(時速48km)と、とてつもない速さになっています。

 

地球から離れる距離は、1ヶ月すなわち約259万秒後には、336千キロメートルも離れている計算になります。これはほとんど月までの距離です。1年後には、単純計算では2×1011mも離れていることになりますが、これは、地球と太陽の距離(天文単位距離=1.5×1011m)よりも大きいので、太陽光からの圧力も4分の1になるために、きちんとした数学での計算が必要になります。

 

 

イカロスは地球から飛び立ったので、地球と同じ速さで太陽の周りを周回すると考えられます。

地球が太陽を回るスピードは地球の軌道の長さを1年間で割ればいいのです。

 

地球の軌道の長さは2×3.14×1.5×1011

1年間は31536千秒なので、割り算の結果は、秒速3万メートル(30kmです。

 

イカロスもこのスピードで太陽の周りを周回しながら離れていっているわけです。

 

太陽の引力とイカロスの遠心力の釣合いは、地球に近いところでは、釣合っていますが、

太陽から離れると、周回のスピードが変わらないので

(力は、周回の方向に垂直にかかっているので、周回のスピードには影響がありません)、

遠心力が勝ってきて、どんどん太陽から離れることになりそうです。

(外力があるので角運動量保存則は成り立ちません。)

 

いったいどこまで行くのか、興味があります。

すごいけど、計算間違っていないかな…

この調子だと、金星に近づいていっても、どこか途中で、太陽から離れる軌道に入ると思われます。

今までは、7.5ミクロンの厚さのポリイミドで計算しましたが、実際には7.5ミクロンの厚さのアルミの薄膜が蒸着されているとのことです。(JAXAホームページによる)

 

アルミニウムの密度は2360kg/m3(理科年表による)なので、全ての値を1430÷2360=0.606倍しなくてはなりません。

 

帆の質量は逆に1.65倍になります。ポリイミドの膜の厚さが良くわからないので、

帆の質量を今までの2倍、約4kgとすると、速度、距離共に半分の値になります。

それでも結構、大きな値になります。

結局、帆の質量に少しの誤差(数倍の誤差)があっても、イカロスの速度や距離は桁が変わるほどではないようです。

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コメント

7.5μmの蒸着膜ってものすごいですね・・・。

コメントありがとうございます。

確かにかなり厚い蒸着膜ですね。
ただ、ポリイミドは柔らかい物質なので、ポリイミド基板とアルミニウム蒸着膜の間の応力は、
小さいと考えられますので、かなり厚い蒸着膜を作ることが出来ると思います。
蒸着は、多分イオンスパッタリング(イオンをアルミニウムに衝突させて高速の
アルミニウム原子をポリイミド基板にぶつけて堆積させる)で行っていると思われますので、
ポリイミドとアルミニウム蒸着膜の間は非常にしっかりと接合されており、
十分に高い強度が得られていると思われます。

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