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2010年6月28日 (月)

単位の話

 

物理では、見慣れない単位がたくさん出てきます。

これまでもたくさん見慣れない単位が出てきました。

 

そこで、物理でよく使う単位について整理してみます。

 

物理の基本的な単位は、長さ(距離)、質量、時間の単位です。

これらの単位を基本として、力、エネルギー、熱、電気などなどの単位が決められ、名前がついています。

 

まずは基本単位です。距離、質量、時間は現在では、国際標準単位(SI単位)が決められています。

 

単位は、人間が勝手に決めた物差しなので、どのように決めてもいいのですが、

基本単位は、現在では、ナポレオンが決めた単位にのっとっています。

 

まず距離の単位はm(メートル)です。

難しいことを言わなければ1mは地球の赤道の長さの4000万分の1となっています。

精密なことを言わなければ、このナポレオンの決めた値でほとんど問題はありません。

 

質量の単位はkg(キログラム)です。なぜ、g(グラム)ではないのか?

それは良くわかりませんが、人間の生活感覚では、グラムよりもキログラムの方が身近に感じるからかもしれません。

1kgは、これも精密なことを言わなければ、4℃、1気圧下で、1リットル=1000分の1立方メートルの水の質量と定義されています。

(質量と重量については、2009513日の記事を参照してください。)

 

時間の単位はs(秒)です。

これも精密なことを言わなければ、1日を24時間とし、1時間を60分、1分を60秒としています。

 

これらの基本単位を使って、色々な単位が作られます。

 

まず、力のSI単位はN(ニュートン)です。

Nは、1kgの物体の速度を1m/s(秒速1メートル)増加させる(加速する)のに必要な力の単位と定義されています。

 

地球上の重力の加速度は9.8N/kg9.8m/s2なので、1kgの物体にかかる重力は9.8N、約10Nです。

 

しかし、通常の生活で、重力、すなわち重さをニュートンを使うのは、ちょっと変です。

たとえば、牛肉1kgくださいというところを、牛肉10ニュートン下さいとは、言いにくいですね。

 

重力は、Nが基本ですが、kg重という単位も使います。

通常の生活では、この「重」をとって、例えば体重60kgなどと言っているのです。

 

次に、エネルギーのSI単位はJ(ジュール)です。ジュールも人の名前で、人名が単位の場合は大文字を使います。

 

Jは物体を1Nの力で1m移動させるのに必要なエネルギーです。

質量1kgの物体を地球上で1m持ち上げるのに必要なエネルギーは、9.8Jとなります。

 

このジュールという単位はあまり日常生活では使いません。

日常生活でよく使われるのがcal(カロリー)です。

calは、水1gを1℃(1ケルビン)加熱するのに必要な熱量の単位です。

 

この熱量の単位、カロリーがエネルギーの単位で、

1cal=4.18Jという関係(熱の仕事等量)を実験的に決めたのがジュールです。

 

1kgの物体を1m持ち上げるのに必要なカロリー数は9.8J4.18で割って、

9.8÷4.182.34calになります。

 

2009221日の記事でも計算しましたが、60kgの体重の人が100mの高さまで登るのに必要なエネルギーは2.34cal6000倍して、14067cal=14.067kcal、すなわち14キロカロリー消費するのです。飴玉1個分?

 

ここで、温度の単位でK(ケルビン)という、聞きなれない単位が出てきました。

Kは絶対温度のSI単位で、0℃=273.15Kです

世の中に、0K以下の温度は存在しません。

 

ケルビンの温度目盛りは摂氏温度℃と同じため、物理では加熱による温度上昇を1K上昇したというのですが、日常では1℃上昇といって構わないのです。

因みに、ケルビンも熱測定に貢献した人の名前(ケルビン卿)です。

 

日常使われているSI単位では、電力をあらわす、W(ワット)です。これは仕事率の単位です。

これは、1秒間に消費されるエネルギーの単位で、1W1秒間に1Jのエネルギーを消費する量です。

すなわち、W=1J/sです。

 

ワットと自動車などに使われる馬力は関係があって、1馬力=735.5Wになります。

馬力が大きい自動車は1秒間に使うエネルギーも大きいということになります。

 

ワットは電力に使われることが多いので、ここで、電気のSI単位について話しましょう。

良く使われるのがA(アンペア)とV(ボルト)です。

この単位については、まずは、電荷の単位から言わなければなりません。

 

電荷のSI単位はC(クーロン)です。

Cは1Aの電流が1秒間に運ぶ電荷の量として定義されています。

言い換えると1秒間当り1Cの電荷の移動が1Aです。

C=A/s 

 

電圧(電位差)の単位Vは、1Aの電流によって、1W消費される時の電圧を1Vと定義しています。

言い換えると、1Vの電位差を1Cの電荷が移動すると1Jのエネルギーを消費するということでもあります。

すなわち、V=1W/A=J/Cです。

 

圧力のSI単位はPa(パスカル)です。

Pa1平方メートルの面積に1Nの力がかかる時の圧力の単位です。

 

圧力の単位は、日常的には1気圧など、気圧を使います。水銀を使った圧力計で、水銀柱の高さが760mmの時を1気圧と定義しています。

1気圧は1013.25Pa(ヘクトパスカル:100Pa)です。

 

ここで、ヘクトという修飾子が出てきましたが、単位の前に、ミリ、センチ、キロなどの修飾子がつくことが多いです。

 

通常使われる修飾子は、まずは、大きくなるほうでは、

da:デカ:10

h:ヘクト:100102

k:キロ:1000103

M:メガ:1000000106

G:ギガ:1000000000109

T:テラ:10000000000001012

 

小さくなる方では

d:デシ:0.1101

c:センチ:0.01102

m:ミリ:0.001103

μ:マイクロ:0.000001106

n:ナノ:0.000000001109

p:ピコ:0.0000000000011012

f:フェムト:0.0000000000000011015

 

です。

 

1km=1000m、1mm=0.001mなどです。

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コメント

コメント頂きまして有難うございました。先生は光が空間エネルギーであるから、電子も同じようなものと見られて、当然なことと仰いました。私が言いたい事はその通りです。しかし、物理学での基礎理論はそんな風には解釈していません。私から見れば、虚偽に満ちた物理学理論であるとしか言えません。電流概念一つを取り上げても、そんなものは導線の中を流れている訳はありません。大学の物理学教育とは、一体何を教育しているのでしょうか。プランクの1900年の論文を見ても、アインシュタインの光子概念でも、空間のエネルギーとして捉えていません。振動数、周波数の概念では空間のエネルギーは捉えられません。先生は光子のエネルギーが空間にどのように存在すると考えておられるのですか。出来ましたら、その辺の事を少し数式なしに説明いただきたく、お願いいたします。

先生の単位のブログを拝見させていただきました。私も1998年に日本物理学会で単位系「JHFM]を提唱しました。ジュールのJを基準にした4個の単位に統一したものです。例えば、質量はJHF/(平方m)と表され、時間の秒sは(HF)の平方根となります。電磁気学の電流、電圧あるいは電荷などは一つのエネルギーの流れに対する一面からの解釈でしかないと見なければなりません。実在量としてはエネルギーしか存在しないのです。どのようにお考えかお聞かせいただければ幸いです。

コメントありがとうございました。
単位をエネルギーと電気的な量と長さで全てあらわそうということは、ユニークで面白と思います。
物理現象をエネルギーから見るということもある意味では当然だと思います。
これは、物理理論の根底にエネルギー保存則があり、それに基づいて、ハミルトン方程式やシュレーディンガー方程式が出来ており、それだけで、一応は物理現象の全てを説明できると思われています。

単位については、私はどのようにとっても構わないと思っています。
エネルギーを基本に取れば、それによって見えてくる世界があることも当然だと思います。
しかし、物理学の単純性を考えると、最も基礎的な量を単位に使うべきだと思っています。
すなわちお互いに独立な素単位を使うのが、全く新しい現象が出てきた時には、すぐに対応できると思います。
現在使われている素単位は、『長さ』『質量』『時間』です。
全ての単位は、この組み合わせで成り立っています。

これらの素単位系を組み合わせた単位系だけ(例えばエネルギーとか電磁単位など)で、現在知られている物理現象全てに対応させることも可能かとは思いますが、本当に独立なものが出来るのかどうか?
私は疑問に思っています。

私自身は、物理で使われる素単位は、お互いに独立でなければならないと思っています。


コメントありがとうございました。

光あるいは電磁波のエネルギーに関しては、真空中のエネルギー密度分布という概念が19世紀からあります。
真空も温度を持ち、その温度によるエネルギーは電磁波によるというものです。
真空の温度に関しては、真空状態に物体を置いて、平衡状態で、物体の持つ温度で定義されています。
この温度を与えるエネルギーが電磁波であると考えられているわけです。

コメントで言われている空間のエネルギーの定義を誤解しているかもしれませんが、空間のエネルギーが空間を満たしている電磁波のエネルギーと考えれば、エネルギーの状態密度は振動数の二乗に比例しますので、空間に広がった電磁波のエネルギーに関しては振動数を使わざるをえないのです。

その意味で、プランクの考え方は、古典的な電磁波の連続的なエネルギー分布に対して、離散的なエネルギーを考えたことによるもので、空間のエネルギーとしての電磁波の考え方から出ていると思います。
論文にはあらわには出していないかもしれません。

アインシュタインの光量子仮説は、空間に広がった電磁波が光子に収縮した状態で議論をしていますので、空間のエネルギーとしては取り扱っていません。

電子についても同様で、電子が波であれば、空間に広がっていると考えられます。
一方、粒子的側面では収縮しています。

以上はコペンハーゲン学派の解釈で、多くの物理学者が一応これで良いと思っているものですが、本当にそうなのかどうかは、観測の問題として残されています。

電流に関しては、導線の中を流れているかどうかは分かりませんが、そのように考えればつじつまが合う。
すなわち、伝導率が導線の断面積に比例するということで、そう考えられているわけです。
エネルギーの流れが導線の表面あるいは外を流れているとして、つじつまが合えばそれで言い訳です。
電流がどのように流れているか、実験的に確かめる方法はないのですから。

私自身は、現在の物理現象を矛盾なく説明できれば良いと言う立場です。保守的かもしれません。

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