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2010年6月 1日 (火)

物質は波であり、粒子である(粒子と波の二重性)

 

プランクやアインシュタインの光量子の考え方は、光は電磁波、すなわち波であると同時に粒子でもあるということでした。

 

そうであれば、粒子が波であるということも、逆に考えればありうることです。

 

この考えを、プランクのエネルギー量子説とアインシュタインの特殊相対性理論を組み合わせて示したのが、フランスの貴族で物理学者の、ド・ブロイ(de Broglie)公爵でした。

ド・ブロイは、もし粒子が波ならば、波長はどうなるのかということを考えたのです。

 

特殊相対性理論の結果は、質量に光速の二乗を掛けたものが、その物質の持つ全エネルギーであるということです。

質量をm 光速をcで表すと、全エネルギーEは E=mc2という有名な式です。

これは、何らかの事情で、物質が消滅して光に変化した時に、これだけのエネルギーを光として放出するということでもあります。

(これは、現在、原子核エネルギーとして利用されています。)

 

一方、プランクのエネルギー量子説では、光のエネルギーはプランク定数に光の振動数を掛けた物です。

プランク定数をh光の振動数をν(ギリシャ文字のニュー)として式で書くと、E=hνです。

 

物質が消滅して光になった時、そのエネルギーはアインシュタインの式でも、プランクの式でも書くことが出来るので、

mc2=hν

とすることが出来ます。

 

ド・ブロイはこの式から、質量にアインシュタインの特殊相対性理論の式(運動している物体の質量は静止している時よりも大きくなるという式)と、波が塊になって進む速度(群速度という概念)を使って、物質の運動量(質量×速度)はプランク定数÷波長、あるいは、波長=プランク定数÷運動量 という式を導き出したのです。

 

波長をλ、運動量をpであらわすと、λ=h / p です。

 

この式を導き出すには、ちょっとだけ数学的なテクニックが必要ですが、ここでは、ちょっといんちきをして、質量×光速の二乗=プランク定数×振動数から上の関係を簡単に出して見ましょう。

 

光速で運動している物体の運動量は質量×光速なので、上の式の両辺を光速で割ると

 

質量×光速=プランク定数×振動数÷光速

 

になります。すなわち、mc=hν/c です。

 

ここで、波長×振動数は光速ですので、光速÷振動数は波長になります。

(すなわち、波長×振動数=光速 の両辺を振動数で割ると 波長=光速÷振動数 になります。)

したがって、振動数÷光速は波長の逆数 1÷波長ですので、質量×光速を運動量で置き換えれば

 

運動量=プランク定数÷波長

 

になります。これは書き換えると 波長=プランク定数÷運動量 になります。

 

これは、物質が粒子の性質と共に波の性質を持つという、画期的なものでした。

 

1923年にド・ブロイはこの理論を発表し、それから4,5年後の1927年から28年には電子が波の性質である回折現象を示す、電子回折の実験がダヴィソンとガーマーによって行われました。また、そのすぐ後にはG.P.トムソンと菊池正士によって、よりはっきりした電子回折の実験結果が示され、ド・ブロイの物質波の考えは実験的に証明されました。

 

物質は粒子と波の二重性を持つということは、当時の物理学者にとっては、エネルギーが不連続であるということと同様に受け入れがたいことであり、多くの議論と解釈がなされました。

 

1925年にハイゼンベルク(Heisenberg)は有名な不確定性原理を発表し、それに基づいてマトリックス力学を構築しました。

 

また、1926年にはシュレーディンガー(Schroedinger)が波動方程式を発表しました。

この二つの理論によって、多くの実験結果を理論的にとくことが可能となり、量子力学は急速に発展しましたが、物質が波の性質を持つということは、観測の問題と絡めて、大論争を引き起こすことになりました。

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