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2010年6月21日 (月)

お湯が沸く時間

お茶などに使うお湯は、昔は魔法瓶に入れて保存していましたが、今では、大抵、保温の効く電子ポットをに入れてあります。

これは、ヤカンなどで、お湯を沸かすのに、結構時間がかかるので、すぐにお湯の使える電子ポットは便利だからです。

最近TVコマーシャルで、すぐにお湯が沸く電気ポットの宣伝があるので、それについても後で考えて見ます。

 

いったいどれくらい時間がかかるのか?電子ポットの場合で考えて見ましょう。

 

電子ポットは周りを保温材で覆っているので、熱が逃げにくく、したがって、加えた熱量(すなわちエネルギー)は水の温度上昇に使われていると考えていいのです。

 

通常使われている電子ポットは、700Wの電力で、3リットルの容量です。

今の時期、水道水の温度は大体25℃なので、25℃、3リットルの水を700Wの電力で100℃まで加熱するのにどれだけかかるのか計算してみましょう。

 

水の比熱は通常は1cal/K·gです。(cal:カロリー、K:ケルビン、g:グラム)

K1℃は目盛りとしては同じです。0℃=273.15Kであり、0K=-273.15℃となります。

すなわち15℃の1グラムの温度を1℃だけ上昇させるのに必要なエネルギーは1カロリーということです。(水の比熱は温度によって変わりますが、通常はこの値で構いません。)

 

1グラムは1ミリリットルの容積の質量なので、3リットルの水は3キログラム(3000グラム)の質量を持ちます。

【質量と重量の関係や、物理で使う単位については2009221の記事(エネルギー:カロリー計算1)あるいは、2009513の記事(重量と質量)を参照してください。】

 

比熱×質量は熱容量と呼び、単位はcal/Kです。

 

3リットルの水の熱容量は1ケルビン当り3キロカロリー、すなわち3000cal/K=3kcal/Kです。

 

この水を25℃から100℃にするには、75K75℃)温度を上昇させる必要があります。

1K1℃)上昇させるのに3000カロリー必要なので、75K上昇させるには、75倍して、

225000カロリー、すなわち225キロカロリー必要になります。

 

1カロリーは4.2ジュール(ジュールはエネルギーの国際単位です。2009221日の記事参照)なので、225キロカロリーに4.2をかけると、945キロジュール225000カロリー×4.2945000ジュール)になります。

 

この水を700Wの電力で加熱するわけです。1Wとは1秒あたり1ジュールのエネルギーのことを言います。【2009222日の記事、カロリー計算2を参照】

 

700Wの電子ポットでは、1秒間に700ジュールのエネルギーが加えられるので、

945000ジュール加えるには、この値を700で割った秒数が必要になります。

計算すると1350秒になります。

これは2230秒です。1℃温度を上げるのに、18かかっていることになります。

10℃上昇させるには3分です。

 

そこで、電子ポットを使って実験してみました。

55℃の水温から95℃になるまでの時間を計ったところ、1230秒、

85℃から95℃の10℃の温度上昇時間は313秒でした。

 

これは、加熱中に逃げる熱や、実験誤差から言うと、計算値は実験値に非常に良く一致しているといえます。

 

最近、保温機能のない小型の電気ポット(電気ケトル)が売り出されています。

0.8リットルから1リットルの製品で、定格消費電力は1250Wです。

 

この製品は、140ミリリットルのお湯が約60秒で沸くと謳っています。

 

温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギーは140×4.2588ジュール必要なので、

25℃から100℃に沸かすには、588×7544100ジュール必要です。

消費電力が1250Wなので、割り算をすると35.28秒。

0℃から沸かすと48秒程度になります。どちらにしても1分以内です。

 

量が少ないと、周りの容器を暖めるエネルギーも余計に必要になるので、

少し計算値より余計なエネルギーが必要になります。

 

このケトルの場合、満タンの0.8リットル、25℃の水の沸く時間も、約3分半程度で、

これなら我慢が出来ます。

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コメント

はじめまして。
これから、induction(日本語で何というのか、わかりません、磁気でしょうか?)の調理台を買いに行くところでしたので、大変勉強になりました。

Wの強さ別に、レンジにも、いろいろな機種があり、ガス台に比べて、早いといわれているものの、どのくらい早いのか、自分の毎日の調理に、必要なW数はどのくらいなのか、ピンと来ませんでした。
貴記事をもとに、カタログにあるレンジのW数ごとに、1Lの水を沸かすのに必要な時間を計算して、具体的なイメージがつかめました。
どうもありがとうございました!!

Gabrielleさん

コメントありがとうございます。記事がお役に立てたようで嬉しいです。

ところで、inductionは誘導と訳します。
Electromagnetic Induction(電磁誘導)を通常は略してInductionといっています。IHは Induction Heating(誘導加熱)の略ですが、 正式にはElectromagnetic Induction Heating(電磁誘導加熱)というべきでしょう。

ものを切るときに包丁を使います。以前、海外に留学をしていたときに、そこの学生さんと議論したことがあるのですが、結論が出なかった事項があります。それは包丁で何かを切るときに、手前に引きながら(or 押しながら)きると、簡単に切れるのに、垂直に押すとうまく切れない、という事象に関する説明でした。ぜひ、議論いただけますと「すっきり」します。

あと指がポキッとなるのはキャビテーションということなのですが、関節の中に生じ得る容積変化がどのくらいなのかなあと思っています。(独り言)

Kuratitoさん

コメントありがとうございます。
包丁で物を切る時に、垂直に押すよりも前後に動かして切る方が切れやすいという問題は、とても興味深いです。

その内、摩擦について書こうと思っていましたので、包丁の問題で取り上げさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

キャビテーションについては、さすがに医学あるいは生体についての知識が必要のようで、手に負えるかどうか…

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