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2010年6月30日 (水)

原子の質量と大きさはどうやって分かったのか?

 

原子の質量や大きさは、19世紀末には、おおよその値は分かっていたようです。

どのような方法で、原子の大きさは推測され、どうやって、精密に測定されていったのか、

調べるのは面倒なので、勝手な想像をしてみました。

 

18世紀から19世紀にかけて、化学反応の精密な実験で、原子や分子についてはかなり良く分かって来ていたと思われます。

 

そのような研究から原子や分子の質量が水素原子の質量の整数倍ということも分かって来ていたと思われます。

 

また、反応した気体の体積から、等温、等圧において、等しい体積の気体には、等しい数の分子が存在することもはっきりしてきました。(アヴォガドロの仮説:アヴォガドロ数)

これは、化学反応した気体の体積を測ればすぐに分かることでした。

 

一方で、放電や電気分解の実験で、電荷に正負があることも分かっていました。

 

電荷の測定は、ミリカンの油滴の実験が有名ですが、それよりも前に、水滴を用いた実験が行われ、電荷の最小単位、素電荷についても分かっていたと思われます。

ミリカンが精密な油滴の実験を行ったのは、20世紀初頭、1910年前後なのですが、

それよりも前、1903年にはJ.J.トムソンや長岡半太郎によって、原子模型が出されていたので、

その段階で、おおよその大きさは分かっていたと思われます。

 

J.J.トムソンはイオンビームの研究をしていたので、水素イオン、すなわち陽子についても質量の測定を行っていたとしても不思議ではありません。

 

イオンの質量の測定は、加速したイオンを電場や磁場で曲げて、その角度から調べる方法が、当時では一般的でした。

現在では、4本の金属棒を平行において、正負の電位を交互(振動電位)にかけることによって、イオンを螺旋状に運動させることによって、質量測定をしています。

イオンの質量が小さいと、振動電位の周波数は大きくないと、イオンははじかれてしまい、

質量が大きい場合は、周波数を小さくしなくてはなりません。

したがって、イオンが無事通り抜ける周波数によって、質量を決めているわけです。

 

ところで、現代の質量分析計でも、実際に測定できるのはイオンの質量と電荷の比だけです。

ですから、電荷の値が分からなければ、質量も分からないのです。

 

これは、電子の質量の決定においても同様です。

 

したがって、ミリカンが水滴ではなくて、油滴を用いて、精密な電荷の測定をしたことは、その後の物理学の発展のためにも非常に重要なことだったのです。

 

このようにして、陽子の質量と電子の質量が分かるとそれを加えた質量が、水素原子の質量となります。

 

1gの水素に含まれる水素原子の数、あるいは2gの水素に含まれる水素分子の数は、

水素原子1個の質量の逆数として計算できるので、この方法で、アヴォガドロ数(アボガドロ数)が分かります。

 

水素原子の質量は1.66053×1024g=1.66053×1027kgです。

この量は原子質量単位(amu)と呼ばれています。

水素気体2gに含まれる水素分子の数

 

2÷水素分子の質量=1÷水素原子の質量=1÷(1.66053×1024)=6.02217×1023

 

となって、アヴォガドロ数がでてきます。普通は6×1023と覚えています。

 

アヴォガドロ数が分かれば、とりあえず、原子の大きさはわかります。

 

例えば、金原子です。金の原子量は197です。

そこで、197gの金の体積を求めて、それをアヴォガドロ数で割れば、金原子のおおよその大きさは分かります。

体積は197gを金の密度、19.3g/cm3、あるいは、0.197kg19300kg/m3で割れば出てきます。

金の体積は10.2cm31.02×105m3になります。

これをアヴォガドロ数で割ると金原子1個の体積になります。

結果は1.695×1023cm31.695×1029m3です。

サイズはこの3乗根ですが、計算を簡単にするために、ちょっと係数をずらして、

16.95×1030m33乗根を計算すると、暗算でも3乗根は2.5×1010mから2.6×1010mぐらいになります。

 

正確に計算するとサイズは2.57×1010m=2.57Åです。

 

最近のX線回折の結果を使えば、金原子の大きさは直径で、2.88×1010m=2.88Åですから、

このように、かなり大雑把に計算しても、あながちひどく外れた値にはなっていません。

 

現在では、結晶中の原子間距離をX線回折で精密に測定して、原子半径を決定しています。

 

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コメント

拝啓
ちょっと見させていただいただけですが。大体教科書の内容と同じ説明と見ました。確かに、原子の大きさは数オングストロームであろうとは考えます。しかし、自分で本当に実験して測定しない限りはやはり心から確信は得られないだろうと考えます。電磁界理論もマックスウエル電磁場方程式も十分条件を満たしていません。私もこの十年程日本物理学会で物理学基礎理論の欺瞞性を暴く事で、さまざまな分科会で発表してきました。原子構造についても、矛盾がいっぱいあります。原子寸法も、信じるだけの最新の確認実験は有るのでしょうか。                             敬具

コメントありがとうございました。
確かに、ほとんど教科書の内容と同じなはずです。
フリーな形での原子の大きさは、定義が難しいかもしれません。
しかし、気体に対する電子回折の精密な測定で、かなりはっきりしていると思います。
単原子固体に対しては、X線回折で近接原子間距離で原子の直径を定義していますので、はっきりしていると思います。
私自身は、これまで、電子回折による結晶構造解析を専門としていましたので、原子サイズに対する定義をすれば、信頼できる測定値があると思っています。

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