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2010年6月13日 (日)

原子の構造-2

 

『原子構造-1』で、長岡半太郎の惑星モデルは、ラザフォードのイオン散乱の実験とは一致するが、エネルギー的に不安定だということを話しました。

これは、古典的粒子としては、原子核の周りを電子が回ることで、電子から電磁波、すなわちエネルギーが放出されて、電子はエネルギーを失って、原子核に衝突してしまうというものでした。

 

しかし、確率波としての電子を考えると、原子の周りの電子は、運動量も位置も不確定と考えられます。

すなわち、電子は原子核の周りのある半径の範囲に確率的に存在すると思うわけです

 

水素原子は原子核は陽子1個で、その周りに電子が1個だけなので、電子がどのように存在するのかを考えるには、好都合な原子です。

 

ニールス・ボーア(Niels Bohr)はド・ブロイが物質波の理論を出す10年も前、1913年に、水素原子に関して、電子はある条件(量子条件という)を満たす軌道だけが許されるという仮説を出しました。(ボーアの量子条件)

 

これは、プランクの量子仮説でエネルギーが飛びとびの値を取るということを、水素の原子核の周りの電子の軌道に応用したものです。

 

ここで、ボーアが目につけたのは、プランク定数が角運動量(運動量×半径)の性質(物理ではこれを次元といいます)を持つということです。

そこで、水素原子の電子の持つ最低の角運動量がプランク定数÷2π(πは円周率)として、それより大きい角運動量は、その整数倍となるとしたのです。

 

最低の角運動量をもつ状態を基底状態と呼んでいます。

また大きい角運動量を持つ状態を励起状態と呼んでいます。

 

最低の角運動量=プランク定数÷2π

 

を使って、古典的に、電子がこの軌道を回る遠心力と原子核(陽子)と電子の間に働く引力(電気的な引力:クーロン力)が等しいと置くと、電子の軌道半径が出てきます

この値は、0.053nm(ナノメートル:10億分の1メートル)となり、その後、量子力学で計算された水素原子の半径に等しい値です。(この半径はボーア半径と呼ばれています)

 

この半径を用いて計算された水素原子の電離エネルギー(イオン化させるエネルギー)は、

実験結果と非常に良く一致することが分かると共に、角運動量の大きい状態、(外からエネルギーを与える必要があるので、この状態をエネルギーの高い状態、励起状態と呼びます)からの電離のエネルギーも分かりました。

また励起状態から基底状態に電子が移動する時に、エネルギーがあまるので、光を出します。

その時放出される光のエネルギーは励起状態のエネルギーと基底状態のエネルギーの差になります。

そのエネルギースペクトルは、ボーアの量子条件で計算されたエネルギースペクトルとよく一致しました。

 

この結果は、10年後に、ド・ブロイの物質波によって、説明することが出来ました。

すなわち、基底状態の水素原子の電子の軌道は、その一周が電子の波長に対応することが分かったのです。

 

したがって、水素原子の構造は中心に非常に小さい陽子があり、その周りを確率波としての電子が取り巻いているという構造です。

 

水素以外の原子は、中心に原子核(図の中心の赤い点)があり、その周りに、原子核に近い軌道から順次に電子が詰まった、図のような殻構造になっています。

 

Photo

 

図のアルファベットは、殻の名前で、一番中心に近い殻がK殻、その外がL殻と順次MNO殻と続きます。

 

K殻には電子は2個入ることが出来、L殻には8個、M殻には18個、N殻には32個、O殻には50個(O殻に電子が全部入った原子はまだ見つかっていません)の電子が入ることが出来ます。

 

水素以外の原子の原子核は、陽子と中性子で出来ています。

しかし、正の電荷と中性の粒子がどのような力で集まっているのか、不思議です。

この謎を解いたのが、湯川秀樹博士の中間子論だったわけです。

すなわち、陽子や中性子などの核子を結び付けている力は中間子のやり取りによるとしたのです。

 

このようにして、原子は電子、陽子と中性子だけではなく、中間子も含む複合体と考えられるようになったのですが、原子核衝突実験で、さらに他の粒子も見つかり、いわゆる素粒子論が生まれたのです。

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