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2010年5月31日 (月)

炭火はなぜ暖かいのか?

 

物質を熱して放出される光は、その温度で空間に存在できる光の振動数分布(あるいは波長分布)で決まってしまいます。

それが、528日の記事に示した、輻射のスペクトルです。

ある温度で、空間に存在できる光の密度は、振動数の小さいところでは、振動数の二乗に比例して大きくなりますが、振動数が大きくなるとそれから外れて、ピーク値を示してから、急激に減少します。

すなわち、低い温度では振動数の高い(波長の短い)光の密度は非常に小さくなります。

Photo

上の図は、528日の記事に示したスペクトルを、温度1000Kから2500Kの範囲において、横軸を波長で書き換えたスペクトルです。

可視光は約0.4μmから0.8μmの波長の範囲なので、この図で、波長約1μm以上の領域は全て赤外線領域になっています。

すなわち、この温度範囲では、可視光よりも波長の短い光の波はほとんど存在せず、赤外線領域の波長の長い光がほとんどを占めていることになります。

また、光の強度のピークも赤外線領域であり、この温度範囲では、可視光よりも熱線が多く出ていることになります。

炭を熱したときの温度も約1500K程度なので、赤外から遠赤外の光が多く出ています。

 

遠赤外線の振動数は、常温での物質の中の分子の熱振動の範囲にあります。

赤外線が物質にあたると、物質の中の分子の振動が強制的に活発になり、

その結果、物質の表面から温度が上がり始めます。

赤外線は、表面で吸収されるので、表面だけが高温になってしまいそうですが、

普通は、熱伝導で、表面の温度は内部に伝達されるので、表面だけが高温になることはありません。

 

だから炭火は暖かいのです。


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