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2009年6月17日 (水)

エコドライブ

物体が空気中を運動するとき、速度に比例した空気抵抗を受けることをこれまで示してきた。このことは、物体を同じ速度で運動(等速運動)させようとすると、その速度に比例した力を常に加えていなければならない。すなわち、同じ速度で運動させるのにもエネルギーが必要となる。

 

運動に必要なエネルギーは、2月21日のブログ(エネルギー(カロリー計算1))に書いたように、力×移動距離であるので、同じ距離でも力を多く必要とすればそれだけエネルギーを使うことになる。

 

例えば自動車で100km移動する場合、時速60kmで走行する場合のエネルギー、すなわち燃費は、時速120kmで走行する場合の半分で済むことになる。

 

スピードが速いと燃料を消費する時間が少なくなるので、燃費は変化が無いか、あるいは少なくなるように思えるが、そうは行かないのである。スピードが速いと同じ距離でも、燃費はそれだけ多くなる。

 

それでは、スピードは小さいほど、エネルギー消費、すなわち燃費はよくなるのだろうか

 

実際に自動車の走行で消費されるエネルギーは空気抵抗だけではないので、他の効果も考える必要がある。

 

自動車が走行する場合、空気抵抗のほかに、地面との摩擦がある。

 

摩擦はスピードにほとんど依らないとすると、摩擦によるエネルギーの消費は移動距離だけによるので、距離が同じならエネルギー消費も同じになる。

 

したがって、摩擦の効果はスピードによらず、エネルギー消費量は一定であるので、摩擦だけを考えたのでは、スピードは遅いほど燃費はいいことになる。

 

でも現実はそうではないようである。

 

自動車のエンジンをかけたまま停車している、すなわちアイドリング状態でもエネルギーは消費している。

 

自動車の場合、車を動かす動力内で、ある一定のエネルギー消費がされていると思われる。この部分は、時間が短いほど、エネルギー消費量が短いと考えられる。したがって、スピードが大きいほど一定距離を移動するのに必要な燃費は少なくて済む。

 

このときの燃費はスピードに反比例すると考えられるので、これと空気抵抗による燃費を加え合わせたものが、全体の燃費となる。ただし、摩擦による燃費は、変化しないので無視することにする。

 

最小値を出すには、どうしても数学の微分を使わなくてはならないが、経済速度を仮定すれば、難しく考えなくても、結果を出すことが出来る。

 

Photo_2

 

上の図は、自動車のスピードと100km走行に必要な燃料を、適当な仮定の下に計算した結果である。

 

ピンクの直線は空気抵抗による消費燃料のグラフであり、濃いブルーの曲線は自動車内部のスピードに反比例する燃料消費のグラフである。

 

この二つのグラフを加え合わせたものが、トータルの消費燃料で、最小値は丁度ピンクの直線とブルーの曲線の交点の位置になることが分ると思う。

 

最小値の速度が経済速度で、ここでは時速60kmである。この自動車の燃費はかなり悪くて、経済速度で100km移動するのにガソリンを12リットル必要であるが、これは、比例係数を適当に選べば(例えば、100km移動に8リットル必要なら、縦軸の数値に2分の3をかければ良い)良いだけなので、あまり本質的ではない。

 

参考のために、全体の曲線を表す式は

 

(経済速度÷走行速度)+走行速度

 

に比例定数をかけた形になる。

 

グラフを見ると、経済スピードが時速60kmの場合、走行スピードが時速40km以下では急激に燃費が悪くなるのが分る。

また時速40km80kmの間では、燃費は経済スピードの時とあまり変化が無い。

しかし、時速100km以上になると燃費は悪くなり、時速125kmでは25%も燃費が悪くなっていることが分る。

 

高速道路で、経済速度が時速80kmと一般に言われているのは、このためなのである。

 

もし、自動車が真空中を走行するのであれば、スピードが大きいほど、燃費は良くなるのである。

 

ジャンボジェット機が、上空成層圏に近い、空気の密度が小さい領域を飛ぶのも、空気抵抗を減らして、時間短縮と経済効果を高めるためなのである。

 

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コメント

日立の社会イノベーション戦略が見えてきた。驚くのはハード面で
あり、ベアリング構造の産業インフラをナノ結晶へ置換し、摩擦損失を30%減らすというものだ。CCSCとかGICとかでてくるが詳くは、いかのURLの特殊鋼の論文を参照されたし。

http://www.hitachi-metals.co.jp/rad/pdf/2017/vol33_r03.pdf

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