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2009年6月20日 (土)

エアコンはエコ!冷房

夏になると、冷房にエアコンを使う。

 

エアコンによる冷房の仕組みは冷蔵庫と全く同じである。

簡単に言えば、室内の熱を室外に取り出す(奪う)ことで、室内の温度を下げる。

 

冷房が必要なときは、大抵、室内の温度のほうが室外よりも低い温度である。

 

温度の高い場所から温度の低い場所への熱の移動は、熱伝導や輻射で簡単に移動できるが、温度の低いところから高いところへの熱の移動には、工夫が必要である。

 

熱がエネルギーであること、熱の移動は、エネルギーの移動であることは、225日のブログ「濡れ雑巾で熱い鍋を持ってはいけない」や227日の「一軒家は寒い」の中で述べた。

 

室内から熱、すなわちエネルギーを奪って、室外にエネルギーを放出する過程で、エネルギー保存則が成り立つ。

 

この過程は、自然には起きないので、外からエネルギーを加えてやらなければならない。

2

左の図は、エアコンを使って室内から熱を取り出し、室外に放出する過程を示したものである。

 

このとき、外から加えるエネルギーは、電力である。(ガス式のエアコンもあるが、ここでは簡単のために電力に限ることにする)

エアコンの室外機には、室内の熱エネルギーと電力エネルギーが流れ込み、それらのエネルギーを加えたものが室外に放出される。

 

式で書くと

 

室外に放出されるエネルギー=室内から取り出されるエネルギー+電力エネルギー

 

したがって、エアコン室外機に供給される電力エネルギーは

 

電力エネルギー=室外に放出されるエネルギー-室内から取り出されるエネルギー

 

ということになる。

 

エアコンの性能は室内から奪う(取り出す)エネルギーに対してどれだけの電力エネルギーを必要とするかで決まる。そこで、性能を次のように定義する。

 

エアコンの性能=室内から奪うエネルギー÷電力エネルギー

 

室内から奪うエネルギーは室内の温度に比例し、室外に放出するエネルギーは室外の温度に比例する(これは理想気体のときに正しいが、空気でもほとんど正しい:証明は省略する)。

だから、外から供給する電力エネルギーは室外と室内の温度の差に比例する。

 

エアコンの性能は室内と室外の温度差と、室内の温度で決まってしまうのである。

もっともこれは理想的な場合で、実際のエアコンでは、室外機の中での摩擦などによるエネルギーの消費があるので、効率は悪くなる。

 

そこで、この理想的な性能を式で書くと

 

エアコンの性能=室内の温度÷(室外の温度―室内の温度)

 

物理では、温度は、絶対温度(摂氏温度+273.15を用いることに注意しなくてはいけない。

 

室外の温度が30℃で、冷房で室内の温度を27℃に保ちたい場合、エアコンの性能は

 

エアコンの性能=(27273)÷(3027)=100

(絶対温度は摂氏温度に273.15を加えたものであるが、通常は近似的に273を加えればよい)

 

室内の温度は300K(ケルビン:絶対温度の単位)、室外と室内の温度差は摂氏温度でも絶対温度でも変わりは無いので、摂氏温度で示してある。

 

この結果は、エアコンの性能は100である。これは、1秒間に100ジュールのエネルギーを取り出す、すなわち、100W(ワット)エネルギーを取り出すのに、エアコンに供給するエネルギーは1Wで良いということなのである。(エネルギーの単位については2月のブログ「エネルギー」を参照)

 

たとえば、室内から1000Wエネルギーを取り出すのに必要な、電力の供給は10Wで済むことになる。

 

冷房の場合は、室内を同じ温度に保つには、室外から室内に流れ込む熱(エネルギー)と同じ量の熱(エネルギー)を室内から取り出す必要がある。

また、猛暑で、外の気温が42℃だとすると、性能は20になり、1000Wの エネルギー流入に対して電力の供給は50W必要になる。実際には温度差が大きいと流入するエネルギーも大きくなるので、供給電力は更に必要になる。この場合はエネルギー流入量が5倍になるので、実際の供給電力は250W必要ということになる。

 

227日のブログ「なぜ、一軒家は寒いのか?」で出てきた、一軒家を使って、室外が30℃の時、室内を27℃に保つのにどれだけのエネルギーが必要かを計算してみる。

 

床面積が502、天井の高さが3m、壁の厚さ19cmの部屋の場合、外から中に1秒間に流れ込む熱量は

 

流れ込む熱量=壁の熱伝導率×外と中の温度差×1000W

 

となる。コンクリート壁では熱伝導率は1J/mKなので、外と中の温度差が3K3℃でもよい)の場合、流れ込む熱量は3000Wである。したがって、供給電力は30Wで済むことになる。

 

もし、壁が全て断熱材で出来ていれば、熱伝導は0.03J/mKになるので、流れ込む熱量は90Wとなり、供給電力は0.9Wと驚異的に低い値になる。

 

実際には窓ガラスがあるので、面積1m2、厚さ5mmの窓ガラスの場合は

 

流れ込む熱量=0.6×1×3÷0.005360W

31日のブログ「廊下は生活の知恵」参照)

 

であるので、総流入エネルギーはせいぜい450W程度であり、供給電力も4W余りで足りてしまう。

窓にレースのカーテンをすると、窓と部屋の間に空気の層が出来るので、

外から入ってくる熱は、更に減ることになって、更にエコになる。(3月1日:廊下は生活の知恵?参照)

 

つまり、エアコンはいかにも電力を食いそうに見えるが、実際はかなりエコである。

旧式の冷房機やエアコンでは、熱交換器や室外機内部での無駄なエネルギー消費が大きく、その部分でエネルギーを使っていたが、最近のエアコンはかなり改善されて、理想的な性能に近づいていると思われる。

上で述べたように、エアコンで供給する電力はエアコンの性能に反比例し、流入する熱量に比例する。

エアコンの性能は外と中の温度差に反比例し、流入する熱量は温度差に比例するので、エアコンに供給するエネルギーは外と中の温度差の2乗に比例する。

外部と室内との温度差が2倍になれば、供給電力は4倍になる。

 

冷房の場合、室内と外気の温度差はそれほど大きくないので、室内の設定温度を少し高くするだけで、かなりなエコになる。(エコロジーもエコノミーも!)

 

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