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2009年5月13日 (水)

重量と質量

ガリレオ・ガリレイは振り子の運動の周期が錘の重量によらず、糸の長さにのみ依存することを見つけ出した。

この発見も、落下速度が物体の重量に依存しないことと関係があり、ガリレイが加速度の考え方を取り入れた原因でもある。

 

物体の重さと重力の加速度との関係は

 

物体の重量=重力=物体の質量×重力の加速度

 

である。ここで、物体に固有の量、すなわち質量という概念と取り入れることで、環境によらない物理量を定義することが出来た。

 

このように考えれば、重力の加速度が小さい月面では、物体の重量は地球に比べて小さくなるが、質量は変わらないことになる。

 

月の半径は1738kmで、地球の約1/4である。月の比重が地球とほぼ同じならば、月面における物体の重量は地球の約4分の1になる。実際には月の比重は3.34で、地球の0.6倍なので、重力は更に小さくなって、地球の7分の1程度になる。地球で使っている体重計を月に持っていって、体重を量ると、地球で70kgの体重の人は、月では10kgになる。

 

 

地球上で70kgの体重の人は、正確には(正確なことを言うから物理が分らなくなるのだが)、質量が70kgといったほうが良い。重量は70kg重というべきなのであるが、普通は『重』を省いて体重70kgといっている。

 

質量と加速度という概念を使うことによって、ガリレイの落下の法則の発見から約60年後に、アイザック・ニュートンは、力学の法則をまとめ、ニュートン力学の体系を作り上げた。

これによって、物理学は大きく発展し、量子力学を含む現代の物理学の基礎が作られたのである。

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コメント

質量と重量を、混同すると頓珍漢な議論になる場合もあるでしょうね。

議論を提起している人が重量の変化と言ってるのに、質量の変化と取り違えたら、議論がかみ合わない。

たとえば、赤道と極地で重量が変化したことを示す数値を、質量の変化と勘違いされたらややこしいことになる。

Covaさん

実際、ありえますね。
実験重視だからと言って、勘違い的な議論がテレビなどで出てきたりすると困ります。

質量はそれぞれの物質の属性なのに対し、重量は特定の大きさの重力下で測定された質量の値、ということでしょ。

だから重量は、特定の大きさの重力下、つまり地球とか月とかの測定値同士でないと質量の値として扱えない。

私たちの活動のベースは地球だから、地球上での重量の測定値が質量の大きさとして使われているに過ぎない。

ここを見失うと、本質を見誤った議論になりかねない危険があるということですね。

Covaさん

はい、おっしゃるとおりです。
質量の値は、たまたま、地球上のある地点の重量で、定義されただけなのです。

質量は本来、動かしにくさで定義すべきものと思いますが、現在の質量の大きさの定義はKg原器で定義されています。一方、現在の力の大きさの定義は動かしやすさで定義されています。実際に1Kgの物体に力を働かせて加速度を計って力を決めることなど聞いたこともありません。力の大きさの定義はある種の金属に対する変形の大きさで定義すべきと思います。
なお、現在の日本の理科の教科書は重さと質量を明確に区別していて、それぞれの単位は正しく[N]と[Kg]になっています。
天体物理学者が解説をするときに気軽に「月の重さ」とか「太陽の重さ」と言うのは混乱を招くものと思われます。もうこれからの人達には「質量」と言えば良いのです。

原 宣一さま

コメントありがとうございます。現在、時間と距離に関しては現代的な手法で定義されていますが、質量も炭素12で定義されていると思ったのですが、Kg原器での定義ですか。

力の定義は、重力が力かどうか実証されていない以上、物体の変形で、定義する方が良いかもしれません。現在であれば、測定環境をかなり厳密に設定できるので、宇宙空間など、重力の影響のない条件で、不純物と欠陥のない結晶を使うことで、定義はできると思われます。

理科の教科書で、重量と質量の区別がされているのでしたら、混乱を避けるためにも、きちんと言った方が良いですね。

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