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2009年5月15日 (金)

なぜ重い物体ほど速く落ちるのか?

ガリレイの落下の法則では、落下速度は物体の重さによらない。

(2009年5月12日:落ちる:落下の法則)

しかし、実際には、重い物体ほど落下の速度は大きい。

これはなぜなのか?

 

物体が空気中で運動するとき、進行方向に空気をかき分けて進む。

進行している物体の前方に衝突する空気中の気体分子の平均速度は、

物体から見ると、その速度分だけ大きいはずである。

一方、物体の後方に衝突する気体分子の平均速度は、物体の進行速度分だけ小さいはず。

気体分子が物体に衝突する平均速度の2乗(平均の運動エネルギー)が物体の表面を押す圧力に比例するので、

前方の圧力は速度が増すほど大きくなり、後方の圧力は小さくなる。

すなわち、圧力差は物体の速度が増すほど大きくなる。

この圧力差は物体の速度の2乗に比例する。

これは、圧力が流体分子の運動エネルギーに比例するためである。

(ベルヌイの法則によるので、これについてはそのうちに述べることにする)

 

物体の進行方向に対して、前方の圧力は高く、後方の圧力は低くなるので、浮力の場合と同様に、圧力差によって、物体の進行方向と逆方向に力が働く。

これが、空気抵抗である。

空気抵抗には、このほかに、空気と物体の間の摩擦によるものがある。

これが粘性抵抗である。

この粘性抵抗は速度に比例する。

ここでは簡単のために、圧力差による抵抗は考えずに粘性抵抗による空気抵抗を考える。

この抵抗力は速度に比例し、したがって、空気抵抗力も速度に比例する。

 

物体が落下するとき、物体にかかる力は下向きの重力と上向きの空気抵抗力である。

空気抵抗力は物体の速度が大きくなると大きくなるので、落下速度が大きくなるとそのうちに重力と空気抵抗力が等しくなり、それ以上落下速度は増大しないはずである。

 

この速度を最終速度と呼ぶ。

 

下向きの力は、物体の質量×重力の加速度

上向きの力は、物体の速度×空気抵抗率

 

この二つの力が等しいときに最終速度となるので

 

物体の最終速度×空気抵抗率=物体の質量×重力の加速度

 

の式が成り立つ。この式は次のように書き換えることが出来て、

 

物体の最終速度=物体の質量×重力の加速度÷空気抵抗率

 

となる。この式では、空気抵抗率が同じなら、最終速度は質量が大きいほど大きくなる。

物体の外形と大きさが同じならば、空気抵抗力はほとんど同じと考えられるので、最終速度は、同じ大きさと外形を持つ物体は重い物体ほど落下速度が大きくなる。

 

すなわち、ゴルフボールとピンポン玉ではゴルフボールのほうが質量が大きいので、落下速度は大きくなる。

 

これが重い物体のほうが軽い物体よりも速く落ちる主な原因である。

 

斜面を滑り落ちる(あるいは転がり落ちる)物体についても同様である。

 

斜面を滑り落ちる場合、摩擦力も抵抗力として効いてくるが、摩擦による抵抗力はほとんど速度によらないと考えられるので、摩擦係数が同じならば、空気抵抗が無ければ、滑り落ちる速度は物体の重さによらないはずである。

(摩擦、摩擦係数については、いずれ話すことにする。)

 

したがって、摩擦係数が同じ場合には、空気抵抗があれば重い物体のほうが軽い物体よりも速く滑り落ちる。

 

スキーの滑降競技などでは、体重の重い選手のほうが有利になるかもしれない。

同様に、同じ初速なら重い球ほど遠くに飛ぶことになる。

ゴルフボールはピンポン玉よりも遠くに飛ばしやすいのである。

ガリレオ・ガリレイのピサの斜塔での実験はやはり本当とは思えない。

実際にはガリレイは落下の法則を斜面での実験で確かめた。

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科学」カテゴリの記事

コメント

やはり、ニュートンのりんごのエピソード同様、後の創作ということでしょうか。

Covaさん

はい、私は創作ではないかと思っています。
この実験をするには、ピサの斜塔は、ちょっと高すぎますね。
地面に着く前に最終速度になりそうです。

地球の「引力」または「空気抵抗」に変化が無い限り、重い物も軽い物も落下速度は同じですよ

ちなみにピンポン玉は中身が空気ですから、ゴルフボールと比較するのはナンセンスです

もし比較するのであれば、「重いピンポン玉」と「軽いピンポン玉」、あるいは「重いゴルフボール」と「軽いゴルフボール」で比較するべきでしょう

>同じ初速なら重い球ほど遠くに飛ぶことになる。
>ゴルフボールはピンポン玉よりも遠くに飛ばしやすいのである。

もはや「落下速度」のお話ではありませんよね?

論点がズレています

>ゴルフボールはピンポン玉よりも遠くに飛ばしやすいのである。

それは「加える力の強さ」によって変わります

例えば本当に弱い力(小指で弾くような強さ)で押し出した場合
軽いピンポン玉の方が遠くまで飛びます


連続書き込み失礼しました。

ガリガリさま
コメントありがとうございます。
比較すべきは、形状が等しくて、質量が異なる物体で行うことが重要かもしれません。
しかし、ゴルフボールは直径が約43mm、質量46g、一方ピンポン玉は直径44mm、質量2.4gですので、比較の対象としては許されると思います。
なお、空気抵抗は形状にのみ依存しますので、ピンポン玉の中が空気であろうとほかの物質であろうと関係はありません。

ガリガリ様の
>地球の「引力」または「空気抵抗」に変化が無い限り、重い物も軽い物も落下速度は同じですよ

については、論旨が良く分かりませんので、もうすこし理論的に示していただきたいと思います。
私の議論は、引力と空気抵抗が高さに対して変化がないとしての議論です。空気抵抗による最終速度が質量に比例し(あるいは質量の平方根に比例)、形状が同じであれば重い物体が速度が大きくなります。

また、ゴルフボールとピンポン玉を飛ばすことに関しては、確かに落下の問題ではないので、論点はずれているかもしれませんが、空気抵抗の観点からは同じ問題です。すなわち慣性に関する問題です。

最後に、私は「初速」が同じ場合と書いているわけで、同じ力で飛ばすとは書いていません。
等しい力を等しい時間かけて飛ばした場合は、質量の小さいピンポン玉の方が初速が大きくなりますのである条件では、遠くまで飛ぶことがあります。これは初速の差によって変わってきます。

こんにちは。

題名が「重いもののほうが速く落ちる」みたいになっていますから、テニスボールとゴルフボールの比較話でも別に変じゃないですね。

この場合「重い」という言葉の意味するのは「密度の大きいもの」か「、「同じ物質であれば形の大きいもの」という一般の意味使いであるということはすぐに気が付きますです。

ピンポン玉とゴルフボールはどちらが遠くまで飛ぶかについてですが、比べる対象はゴルフボールではない方がよろしいのでは?ゴルフボールは設計上遠くに飛ばせるよう凸凹に作られています。それにより、ゴルフボールと同じ大きさで滑らかな表面の球のゴルフボールより軽い球、同じ重さの球、重い球の3つの飛距離とゴルフボールの飛距離を比較すると初速は同じということなので、理論上ゴルフボールの飛距離が1番長くなります。なのでゴルフボールとピンポン玉を比べるのではなく、同じ大きさ、同じ形、どちらも滑らかな表面で違う重さのふたつの球、というような条件を作り比較しなければならない。重さ以外の条件に相違があれば重いものほど遠くに飛ぶということは結論づけることが出来ないのでは?仮にそう結論づけるとしてもそれは不完全な証明になります。その点についてどうお考えかお聞きしたいです。批判しているつもりはありません。

>摩擦係数が同じ場合には、空気抵抗があれば重い物体のほうが軽い物体よりも速く滑り落ちる。
これは間違いです。摩擦係数が同じであっても重い物体の方が早く落ちる訳ではありません。摩擦とは物体の形に影響されるため重さに影響されるため重さとは関係なく、また空気抵抗も同様なので、物体の形と大きさが同じであれば同時に落ちます。大きさと形が違うというのであればそもそも証明できません。

なんとまあ、ピサの実験は等しく落ちたように見えた、というガリレイのアシスタントの勘違いだったとは・・。苦笑

天秤様
コメントに気付かず、失礼しました。
ゴルフボールは、確かに比較の対象としては不適当だったと思います。ピンポン玉と、ピンポン玉の内部に物質を詰め込んだ質量の大きいピンポン玉で、比較をすべきでした。

>摩擦係数が同じ場合には、空気抵抗があれば重い物体のほうが軽い物体よりも速く滑り落ちる。
>これは間違いです。摩擦係数が同じであっても重い物体の方が早く落ちる訳ではありません。摩擦とは物体の形に影響されるため重さに影響されるため重さとは関係なく、また空気抵抗も同様なので、物体の形と大きさが同じであれば同時に落ちます。大きさと形が違うというのであればそもそも証明できません。

これについては、具体例を挙げていただけますか。通常、斜面の実験では、空気抵抗の効果が小さいので、かなり長い斜面の実験でないと、重さの差は出てきません。ガリレオの実験でも、斜面を使っているのは、そのためでもあります。空気抵抗の効果で、最終速度に達する場合には、差が出てきます。

キャロッセ様
コメントありがとうございます。ピサの実験は、弟子の作り話との噂もあります。

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